「ブレグジットの面白さがわかる」と題して、拙著『EU離脱』(ちくま新書、2020年)の新刊紹介がnippon.comに掲載されました。魅力的な紹介をありがとうございます。
記事URL:https://www.nippon.com/ja/japan-topics/bg900137/
ブレグジット自体が「面白い」かのようないい方には若干語弊がありそうですが、もし本が面白いとしたら、やはり題材が面白かったのでしょうね。イギリス側でにもEU側にもさまざまなドラマがありました。
Welcome to Michito Tsuruoka's blog. This space is mainly used to announce my new publications.
2020/02/29
2020/02/28
Lessons from Ogata Sadako on Internationalism in Japan
Michito Tsuruoka, "Lessons from Ogata Sadako on Internationalism in Japan," nippon.com, 27 February 2020 is now online.
URL: https://www.nippon.com/en/in-depth/d00541/lessons-from-ogata-sadako-on-internationalism-in-japan.html
This is an English version of the original Japanese article I wrote for nippon.com in January 2020, talking about Ogata's internationalism and its failure to take root in Japan, particularly in the country's foreign and security policy discourse.
鶴岡路人「日本外交における国際主義の挑戦」nippon.com(2020年1月28日)
URL: https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00541/
URL: https://www.nippon.com/en/in-depth/d00541/lessons-from-ogata-sadako-on-internationalism-in-japan.html
This is an English version of the original Japanese article I wrote for nippon.com in January 2020, talking about Ogata's internationalism and its failure to take root in Japan, particularly in the country's foreign and security policy discourse.
鶴岡路人「日本外交における国際主義の挑戦」nippon.com(2020年1月28日)
URL: https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00541/
2020/02/27
美歐對立影響亞洲(『自由時報』)
鶴岡路人「美歐對立影響亞洲」『自由時報』(2020年2月24日)が掲載されました。台湾の新聞に寄稿した、米欧関係のアジアへの影響に関する小文です。
記事URL:https://talk.ltn.com.tw/article/paper/1354130
米欧対立はアジアにとっても他人事ではなく、さまざまな好ましくない影響が考えられるため、「他人の不幸を喜ぶ(schadenfreude)」ような姿勢は避けるべきだとの論旨です。
記事URL:https://talk.ltn.com.tw/article/paper/1354130
米欧対立はアジアにとっても他人事ではなく、さまざまな好ましくない影響が考えられるため、「他人の不幸を喜ぶ(schadenfreude)」ような姿勢は避けるべきだとの論旨です。
2020/02/25
離脱する英国もEUも弱体化、タガが外れる世界の行方
鶴岡路人「離脱する英国もEUも弱体化、タガが外れる世界の行方」JBpress(2020年2月20日)が掲載されました。
記事URL:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59338
拙著『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書、2020年)からの抜粋記事(JBpress担当者による作成)でして、使われているのは主に第8章、終章で議論した将来展望に関する部分です。先日webちくまで公開の「はじめに」とあわせて、これらをきっかけに本を手にとってくださる方が増えると嬉しいです。
記事URL:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59338
拙著『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書、2020年)からの抜粋記事(JBpress担当者による作成)でして、使われているのは主に第8章、終章で議論した将来展望に関する部分です。先日webちくまで公開の「はじめに」とあわせて、これらをきっかけに本を手にとってくださる方が増えると嬉しいです。
2020/02/21
イギリスのEU離脱は必然だったのか(webちくま)
筑摩書房のサイト「webちくま」で、「イギリスのEU離脱は必然だったのか」と題して、拙著『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書)の「はじめに」が公開されました。
URL:http://www.webchikuma.jp/articles/-/1937
この「はじめに」は今回の本のなかでも、主張のある一番尖った部分かと思います。異論もあるかもしれませんが、証拠に基づく冷静な分析をぶつけ合うことができれば、それはよいことだと思っています。詳しくは、上記リンクをご覧いただければと思います。
URL:http://www.webchikuma.jp/articles/-/1937
この「はじめに」は今回の本のなかでも、主張のある一番尖った部分かと思います。異論もあるかもしれませんが、証拠に基づく冷静な分析をぶつけ合うことができれば、それはよいことだと思っています。詳しくは、上記リンクをご覧いただければと思います。
2020/02/13
波乱のなかったNATOの70周年首脳会合?
鶴岡路人「波乱のなかったNATOの70周年首脳会合?」笹川平和財団・国際情報ネットワーク分析(IINA)(2019年12月18日)を寄稿しました。
記事URL:https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka_11.html
2019年12月の英国でのNATO首脳会合、トランプ大統領に引っ掻き回されることを多くの人が警戒していましたが、意外と平穏でした。破滅的な状況が回避されればよしとするのだとすれば、我々の側での成否の判断ラインが下がりすぎだと思いますが・・・。
今回誕生した新たなNATO用語(?)は、「2%組(two percenters)」。国防支出の対GDP比のNATO目標である2%を達成した諸国のことです。首脳会合終了後、トランプ大統領の「おごり」で、彼らだけの昼食会が開かれました。トランプ大統領はご満悦だったのですが、同盟としては、何だか微妙な展開です・・・。冒頭のビデオを見ると、トランプに促されて各国首脳が発言しているのですが、あの場面ではトランプを褒めるしかないですよね。何だか不自然なぎこちない会合のようでした。そして何より、ストルテンベルク事務総長、お疲れ様でした。ご苦労、お察しいたします。(と、ここに日本語で書いても伝わりませんが。)
記事URL:https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka_11.html
2019年12月の英国でのNATO首脳会合、トランプ大統領に引っ掻き回されることを多くの人が警戒していましたが、意外と平穏でした。破滅的な状況が回避されればよしとするのだとすれば、我々の側での成否の判断ラインが下がりすぎだと思いますが・・・。
今回誕生した新たなNATO用語(?)は、「2%組(two percenters)」。国防支出の対GDP比のNATO目標である2%を達成した諸国のことです。首脳会合終了後、トランプ大統領の「おごり」で、彼らだけの昼食会が開かれました。トランプ大統領はご満悦だったのですが、同盟としては、何だか微妙な展開です・・・。冒頭のビデオを見ると、トランプに促されて各国首脳が発言しているのですが、あの場面ではトランプを褒めるしかないですよね。何だか不自然なぎこちない会合のようでした。そして何より、ストルテンベルク事務総長、お疲れ様でした。ご苦労、お察しいたします。(と、ここに日本語で書いても伝わりませんが。)
Video by White House (YouTube)
2020/01/31
『EU離脱』(ちくま新書)の見本が届きました!
鶴岡路人『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書、2020年)の見本が届きました。2月5日(7日?10日?)の刊行予定日まで秒読みです。そしてイギリスは、EU加盟国としてとして迎える最後の日に・・・。
(カプラ風に積んでみました。)
(ちくま新書のTwitterアカウントから借用)
(ちくま新書のTwitterアカウントから借用)
(ちくま新書のTwitterアカウントから借用)
2020/01/30
Brexitとは何だったのか、何をもたらすのか(「Brexitカウントダウン」最終回)
東京財団政策研究所ウェブサイトでの連載「Brexitカウントダウン」の第22回(最終回)として、鶴岡路人「Brexitとは何だったのか、何をもたらすのか」(2020年1月29日)が同研究所のサイトに掲載されました。
記事URL:https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3321
2019年3月からの連載が今回で終了となります。お付き合いありがとうございました。かなり頻繁な時期もあったため、このブログで紹介できなかったものも多いのですが、第1回から第22回までの全ての記事は下記からリンクされています。
記事一覧URL:https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3128
また、以前にもご紹介のとおり、この連載をもとに大幅に加筆・修正・再構成を行ったものが、鶴岡路人『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書)として2020年2月5日に刊行予定です。あわせて、よろしくお願いいたします。
記事URL:https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3321
2019年3月からの連載が今回で終了となります。お付き合いありがとうございました。かなり頻繁な時期もあったため、このブログで紹介できなかったものも多いのですが、第1回から第22回までの全ての記事は下記からリンクされています。
記事一覧URL:https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3128
また、以前にもご紹介のとおり、この連載をもとに大幅に加筆・修正・再構成を行ったものが、鶴岡路人『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書)として2020年2月5日に刊行予定です。あわせて、よろしくお願いいたします。
2020/01/29
日本外交における国際主義の挑戦――緒方貞子氏が問うたもの
鶴岡路人「日本外交における国際主義の挑戦――緒方貞子氏の問うたもの」nippon.com(2020年1月28日)が掲載されました。
記事URL:https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00541/
緒方貞子氏の足跡や人となりについては、生前の氏と関係の深かった方々による追悼記事にお任せし、拙文では、国際政治・日本外交の文脈で緒方氏の主張を改めて考えてみることにしました。一言でいってしまえば、国際主義を標榜したものの、残念ながらそれは日本外交には根付かなかったということなのだと思います。緒方氏からの宿題は重いです。
今回、nippon.comには初めての寄稿になりました。私自身は緒方氏との直接的な接点はほとんどなかったのですが、野村健・納家政嗣編『聞き書 緒方貞子回顧録』(岩波書店、2015年)は、最も好きな本の1冊でして、今回も主としてこれに依拠しながら、緒方氏の考えを私なりに解釈・整理してみました。
岩波書店紹介ページ:https://www.iwanami.co.jp/book/b262005.html
記事URL:https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00541/
緒方貞子氏の足跡や人となりについては、生前の氏と関係の深かった方々による追悼記事にお任せし、拙文では、国際政治・日本外交の文脈で緒方氏の主張を改めて考えてみることにしました。一言でいってしまえば、国際主義を標榜したものの、残念ながらそれは日本外交には根付かなかったということなのだと思います。緒方氏からの宿題は重いです。
(写真:nippon.comから)
今回、nippon.comには初めての寄稿になりました。私自身は緒方氏との直接的な接点はほとんどなかったのですが、野村健・納家政嗣編『聞き書 緒方貞子回顧録』(岩波書店、2015年)は、最も好きな本の1冊でして、今回も主としてこれに依拠しながら、緒方氏の考えを私なりに解釈・整理してみました。
岩波書店紹介ページ:https://www.iwanami.co.jp/book/b262005.html
2020/01/25
『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書)
鶴岡路人『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書、2020年)が、2月5日に刊行予定です。すでにAmazon等で予約が始まっています。税込み946円(本体860円)です。出版されましたら改めてご案内しますが、書影ができました。
Amazon.co.jp: https://www.amazon.co.jp/gp/product/448007287X/ref=ox_sc_act_title_6?smid=AN1VRQENFRJN5&psc=1
Amazon.co.jp: https://www.amazon.co.jp/gp/product/448007287X/ref=ox_sc_act_title_6?smid=AN1VRQENFRJN5&psc=1
2020/01/17
米欧関係の展開と日本(『国際問題』)
鶴岡路人「米欧関係の展開と日本――変容する日米欧関係のダイナミズム」『国際問題』(2020年1・2月号)が刊行されました。次号(3月号)が刊行されるまでの期間限定ですが、日本国際問題研究所のウェブサイトで無料でダウンロード可能です。
2020年1・2月号URL:http://www2.jiia.or.jp/BOOK/
拙稿PDF:http://www2.jiia.or.jp/kokusaimondai_archive/2020/2020-01_004.pdf
米欧関係の変調が、欧州の対外関係にいかに影響を及ぼすか、そして、それらは日本にとって何を意味するのかを検討しました。文字数が限られていますので、さまざまな側面を浅くしか扱えませんでしたが、トランプ政権下で日米関係を考えるうえでも、参照事例としての米欧関係を理解することの重要性は上昇しています。
2020年1・2月号URL:http://www2.jiia.or.jp/BOOK/
拙稿PDF:http://www2.jiia.or.jp/kokusaimondai_archive/2020/2020-01_004.pdf
米欧関係の変調が、欧州の対外関係にいかに影響を及ぼすか、そして、それらは日本にとって何を意味するのかを検討しました。文字数が限られていますので、さまざまな側面を浅くしか扱えませんでしたが、トランプ政権下で日米関係を考えるうえでも、参照事例としての米欧関係を理解することの重要性は上昇しています。
2020/01/06
米英「特別な関係」の行方(笹川平和財団IINA)
鶴岡路人「米英『特別な関係』の行方(前編)――EUの後ろ盾を失う英国」笹川平和財団・国際情報ネットワーク(IINA)(2019年8月28日)
鶴岡路人「米英『特別な関係』の行方(後編)――変わらない信頼と忍び寄る脅威」笹川平和財団・国際情報ネットワーク(IINA)(2019年9月10日)
記事URL(前編):https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka_09.html
記事URL(後編):https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka_10.html
トランプ・ジョンソン時代の米英の「特別な関係」について、笹川平和財団IINAに2回に分けて寄稿しました。前編サブタイトルのとおりでして、Brexitによる英国の対米ポジションの悪化は避けられません。英国にとっては、米国とのFTA交渉が最初の試練になります。
他方で、中国企業ファーウェイの5Gネットワークからの排除をめぐり、米国の立場と英国の立場には現在のところ相違がありますが、この問題に関する米国と他の同盟国との関係(米国によるファーウェイ排除への強い圧力行使)に比べると、米英関係は様子が異なるようです。後編ではこの背景を探ってみました。
鶴岡路人「米英『特別な関係』の行方(後編)――変わらない信頼と忍び寄る脅威」笹川平和財団・国際情報ネットワーク(IINA)(2019年9月10日)
記事URL(前編):https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka_09.html
記事URL(後編):https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka_10.html
トランプ・ジョンソン時代の米英の「特別な関係」について、笹川平和財団IINAに2回に分けて寄稿しました。前編サブタイトルのとおりでして、Brexitによる英国の対米ポジションの悪化は避けられません。英国にとっては、米国とのFTA交渉が最初の試練になります。
他方で、中国企業ファーウェイの5Gネットワークからの排除をめぐり、米国の立場と英国の立場には現在のところ相違がありますが、この問題に関する米国と他の同盟国との関係(米国によるファーウェイ排除への強い圧力行使)に比べると、米英関係は様子が異なるようです。後編ではこの背景を探ってみました。
2020/01/01
2020年 新年のご挨拶
明けましておめでとうございます。
新しい年をいかがお過ごしでしょうか。
2020年が皆様にとってよい一年になることをお祈りしております。
このブログは、開設以来、基本的に拙稿のご紹介の場として使ってきましたが、この数年、更新が不定期で、本来掲載すべきもののまだ掲載できていないバックログがかなりたまった状態になっておりました・・・。2020年になったのを機に、今後はタイムリーに更新するようにしたいと考えおりますので、よろしくお願いいたします。
研究については、本来、昨年中に刊行されているはずのNATOに関する単著の研究書があったのですが、いろいろとあり、原稿が終わらないままに年を越してしまいました。すでに何年も遅れているプロジェクトでして、NATOが70周年だった2019年中に出せなかったことは、まさに痛恨の極みでした。関係者にもご迷惑をおかけしております。
昨年、NATO以上に気を取られてしまったのが、イギリスのEU離脱(Brexit)問題でした・・・。個人的にも思い入れがあり、複雑な心境にならざるを得ない対象でして、東京財団政策研究所のウェブサイトで「Brexitカウントダウン」として2019年3月から、時評の連載を行いました。当初は数回で終わる予定だったのですが、Brexit自体が延期されたために連載も長引き、結局、2019年年末までに21回の連載となりました。
ただ、2019年12月の英総選挙でジョンソン首相率いる保守党が勝利したことから、ようやく、2020年1月末の離脱実現が現実のものになりました(これに伴い、「Brexitカウントダウン」も近く終了予定です)。
イギリスの離脱日とほぼ重なることになったのは偶然ですが、「Brexitカウントダウン」として連載してきたものを基に、『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書)を、2020年2月5日に刊行することになりました。年末年始は、この校正に追われております・・・。刊行されましたら、このブログでも改めてご紹介いたしますが、すでにAmazonなどでは情報が掲載され、予約注文が可能になっています。少しでも多くの方々にお手にとっていただくことができれば幸いです。
この本の後は、上記NATOに関する研究書、さらには、これまた以前からお約束しているEUに関する教科書、さらには別の新書など、一つ一つ、取り組んでいければと思っております(英語でお約束してる原稿もいくつかありますが・・・)。
引き続きよろしくお願いいたします。
2020年元旦 鶴岡 路人
新しい年をいかがお過ごしでしょうか。
2020年が皆様にとってよい一年になることをお祈りしております。
このブログは、開設以来、基本的に拙稿のご紹介の場として使ってきましたが、この数年、更新が不定期で、本来掲載すべきもののまだ掲載できていないバックログがかなりたまった状態になっておりました・・・。2020年になったのを機に、今後はタイムリーに更新するようにしたいと考えおりますので、よろしくお願いいたします。
研究については、本来、昨年中に刊行されているはずのNATOに関する単著の研究書があったのですが、いろいろとあり、原稿が終わらないままに年を越してしまいました。すでに何年も遅れているプロジェクトでして、NATOが70周年だった2019年中に出せなかったことは、まさに痛恨の極みでした。関係者にもご迷惑をおかけしております。
昨年、NATO以上に気を取られてしまったのが、イギリスのEU離脱(Brexit)問題でした・・・。個人的にも思い入れがあり、複雑な心境にならざるを得ない対象でして、東京財団政策研究所のウェブサイトで「Brexitカウントダウン」として2019年3月から、時評の連載を行いました。当初は数回で終わる予定だったのですが、Brexit自体が延期されたために連載も長引き、結局、2019年年末までに21回の連載となりました。
ただ、2019年12月の英総選挙でジョンソン首相率いる保守党が勝利したことから、ようやく、2020年1月末の離脱実現が現実のものになりました(これに伴い、「Brexitカウントダウン」も近く終了予定です)。
イギリスの離脱日とほぼ重なることになったのは偶然ですが、「Brexitカウントダウン」として連載してきたものを基に、『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書)を、2020年2月5日に刊行することになりました。年末年始は、この校正に追われております・・・。刊行されましたら、このブログでも改めてご紹介いたしますが、すでにAmazonなどでは情報が掲載され、予約注文が可能になっています。少しでも多くの方々にお手にとっていただくことができれば幸いです。
この本の後は、上記NATOに関する研究書、さらには、これまた以前からお約束しているEUに関する教科書、さらには別の新書など、一つ一つ、取り組んでいければと思っております(英語でお約束してる原稿もいくつかありますが・・・)。
引き続きよろしくお願いいたします。
2020年元旦 鶴岡 路人
2019/12/29
「21世紀のシンクタンク・パワー」船橋洋一氏との対談(東洋経済オンライン)
東洋経済オンラインの「21世紀のシンクタンク・パワー」特集の一環で、船橋洋一氏と対談し、下記2本が掲載されました。
「日米同盟の本質は他国と比べないとわからない」東洋経済オンライン(2019年9月5日)
記事URL:https://toyokeizai.net/articles/-/300353
「日本のシンクタンクが欧米に到底勝てない理由」東洋経済オンライン(2019年9月6日)
記事URL:https://toyokeizai.net/articles/-/300356
「日米同盟の本質は他国と比べないとわからない」東洋経済オンライン(2019年9月5日)
記事URL:https://toyokeizai.net/articles/-/300353
「日本のシンクタンクが欧米に到底勝てない理由」東洋経済オンライン(2019年9月6日)
記事URL:https://toyokeizai.net/articles/-/300356
(写真:東洋経済オンライン)
その他特集記事は下記でアクセス可能です。興味深い対談が多数掲載されています。
「21世紀のシンクタンク・パワー」:https://toyokeizai.net/category/ThinktankPower-21stcent
2019/12/27
INF条約後に日本が直面する課題
鶴岡路人「INF条約後に日本が直面する課題」笹川平和財団・国際情報ネットワーク分析(IINA)(2019年6月6日)。
記事URL:https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka_08.html
INF条約後の日本の課題については、米国のミサイルの日本への配備問題がときおり報道されますが、さまざまな角度から何が日本の国益なのかをじっくり検討しておかなければなりませんね。
INF条約失効にいたるNATO内のプロセスと欧州での課題については、下記拙稿をご参照ください。
鶴岡路人「ポストINF条約のNATOと欧州安全保障」平成30年度外務省外交・安全保障調査研究事業『混迷する欧州と国際秩序』(日本国際問題研究所、2019年3月)
論文URL:http://www2.jiia.or.jp/pdf/research/H30_Europe/09-tsuruoka.pdf
報告書URL:http://www2.jiia.or.jp/pdf/research/H30_Europe/
記事URL:https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka_08.html
INF条約後の日本の課題については、米国のミサイルの日本への配備問題がときおり報道されますが、さまざまな角度から何が日本の国益なのかをじっくり検討しておかなければなりませんね。
INF条約失効にいたるNATO内のプロセスと欧州での課題については、下記拙稿をご参照ください。
鶴岡路人「ポストINF条約のNATOと欧州安全保障」平成30年度外務省外交・安全保障調査研究事業『混迷する欧州と国際秩序』(日本国際問題研究所、2019年3月)
論文URL:http://www2.jiia.or.jp/pdf/research/H30_Europe/09-tsuruoka.pdf
報告書URL:http://www2.jiia.or.jp/pdf/research/H30_Europe/
Britain in the Trans-Pacific Partnership after Brexit?
Michito Tsuruoka, "Britain in the Trans-Pacific Partnership?" The Diplomat, 12 November 2019 (online).
Article URL: https://thediplomat.com/2019/11/britain-in-the-trans-pacific-partnership-after-brexit/
My short piece on why the idea of Britain's joining the TPP (CPTPP) is not straightforward. The trade-off between Britain's autonomy in its trade policy and its access to the EU market needs to be taken into account first.
EU離脱後の英国のTPP(CPTPP)参加問題は日本でも関心が高く、また、安倍政権は英国に対してTPP参加を歓迎する旨、繰り返し述べていますが、英国がTPPに参加するためには離脱後のEUとの関係のレベルを引き下げる必要があり、それが日本の利益に合致するとは言いにくいのが現実です。この点に関して、日本語では、以前にハフポスト日本版に寄稿しました。下記です。
鶴岡路人「イギリスのTPP参加?--まずは『ソフトBrexit』実現が優先課題」ハフポスト日本版(2018年11月18日)
記事URL:https://www.huffingtonpost.jp/entry/eu-brexit-tpp11_jp_5c5b8399e4b0faa1cb6848cb
Article URL: https://thediplomat.com/2019/11/britain-in-the-trans-pacific-partnership-after-brexit/
My short piece on why the idea of Britain's joining the TPP (CPTPP) is not straightforward. The trade-off between Britain's autonomy in its trade policy and its access to the EU market needs to be taken into account first.
EU離脱後の英国のTPP(CPTPP)参加問題は日本でも関心が高く、また、安倍政権は英国に対してTPP参加を歓迎する旨、繰り返し述べていますが、英国がTPPに参加するためには離脱後のEUとの関係のレベルを引き下げる必要があり、それが日本の利益に合致するとは言いにくいのが現実です。この点に関して、日本語では、以前にハフポスト日本版に寄稿しました。下記です。
鶴岡路人「イギリスのTPP参加?--まずは『ソフトBrexit』実現が優先課題」ハフポスト日本版(2018年11月18日)
記事URL:https://www.huffingtonpost.jp/entry/eu-brexit-tpp11_jp_5c5b8399e4b0faa1cb6848cb
Making Sense of Japan's Approach to Russia
Michito Tsuruoka, "Making Sense of Japan's Approach to Russia," The Diplomat, 5 September 2019 (online).
Article URL: https://thediplomat.com/2019/09/making-sense-of-japans-approach-to-russia/
My short piece on why Prime Minister Abe's commitment to improving relations with Russia remains viable despite the fact that it is increasingly unlikely for Russia to return the Northern Territories to Japan.
See also: https://www.nbr.org/publication/strategic-considerations-in-japan-russia-relations-the-rise-of-china-and-the-u-s-japan-alliance/
Article URL: https://thediplomat.com/2019/09/making-sense-of-japans-approach-to-russia/
My short piece on why Prime Minister Abe's commitment to improving relations with Russia remains viable despite the fact that it is increasingly unlikely for Russia to return the Northern Territories to Japan.
See also: https://www.nbr.org/publication/strategic-considerations-in-japan-russia-relations-the-rise-of-china-and-the-u-s-japan-alliance/
2019/07/05
ゼミ紹介(慶應義塾広報誌『塾』、2019年夏号)
慶應義塾の広報誌である『塾』には、「半学半教」というゼミ紹介コーナーがありまして、2019年夏号では私のゼミが紹介されました。まだ3年目の新しいゼミですが、今後楽しく発展させていければと思っています。よろしくお願いいたします。
URL:https://www.keio.ac.jp/ja/about/assets/juku/303/303-09.pdf
URL:https://www.keio.ac.jp/ja/about/assets/juku/303/303-09.pdf
2019/06/29
【Brexitカウントダウン・12】Brexitは憲政危機なのか
鶴岡路人「【Brexitカウントダウン・12】Brexitは憲政危機なのか」東京財団政策研究所(2019年6月26日)が東京財団政策研究所のウェブサイトに掲載されました。
記事URL:https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3162
連載一覧URL:https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3128
Brexitをめぐる英国政治の混迷を受け、状況は政策選択をめぐる政治的危機から、英国政治・意思決定の根幹の機能不全を示す憲政危機に発展しているとの議論が英国の内外で提起されています。しかし、何をもって憲政危機とするのかについては慎重な判断が必要なのだと思います。他方で、「憲政危機」という穏当ならざる用語が普通に使われている状況自体が危機的であることはどうやら確かなようです・・・。
記事URL:https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3162
連載一覧URL:https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3128
Brexitをめぐる英国政治の混迷を受け、状況は政策選択をめぐる政治的危機から、英国政治・意思決定の根幹の機能不全を示す憲政危機に発展しているとの議論が英国の内外で提起されています。しかし、何をもって憲政危機とするのかについては慎重な判断が必要なのだと思います。他方で、「憲政危機」という穏当ならざる用語が普通に使われている状況自体が危機的であることはどうやら確かなようです・・・。
2019/06/16
イギリスの防衛外交・防衛関与(笹川平和財団報告書)
鶴岡路人『イギリスの防衛外交・防衛関与――概念の変遷と「英軍ブランド」』笹川平和財団・民間防衛外交研究事業国別事例調査報告書シリーズ(1)(笹川平和財団、2018年9月)が刊行され、同財団ウェブサイトからダウンロード可能です。
英国報告書URL:https://www.spf.org/global-data/2019012811132037.pdf
2017年度から民間防衛外交研究会を実施していまして、まずは英国、フランス(合六強)、オーストラリア(佐竹知彦)が刊行されました。近々、米国(渡部恒雄)と中国(山口信治)が刊行予定です。
報告書一覧ページ:https://www.spf.org/security/publications/20190128.html
英国報告書URL:https://www.spf.org/global-data/2019012811132037.pdf
2017年度から民間防衛外交研究会を実施していまして、まずは英国、フランス(合六強)、オーストラリア(佐竹知彦)が刊行されました。近々、米国(渡部恒雄)と中国(山口信治)が刊行予定です。
報告書一覧ページ:https://www.spf.org/security/publications/20190128.html
2019/06/15
【Brexitカウントダウン・11】首相交代で変わること・変わらないこと
鶴岡路人「【Brexitカウントダウン(11)】首相交代で変わること・変わらないこと」東京財団政策研究所(2019年6月12日)が東京財団政策研究所のウェブサイトに掲載されました。
メイ首相の保守党党首辞任を受け、6月10日に党首選挙が正式に始まりました。7月中には後継首相が就任する見込みです。混迷を深めるBrexitにおいて、首相交代は確かに新たなスタートとなるものですが、Brexitがこうした状況になってしまった基本的な条件が変化するわけではありません。その意味で、「変わること」よりも「変わらないこと」の方が多いのが現実です。
記事URL:https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3148
連載一覧URL:https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3128
メイ首相の保守党党首辞任を受け、6月10日に党首選挙が正式に始まりました。7月中には後継首相が就任する見込みです。混迷を深めるBrexitにおいて、首相交代は確かに新たなスタートとなるものですが、Brexitがこうした状況になってしまった基本的な条件が変化するわけではありません。その意味で、「変わること」よりも「変わらないこと」の方が多いのが現実です。
記事URL:https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3148
連載一覧URL:https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3128
2019/06/08
"Non-Proliferation," in EU-Japan Security Cooperation (Routledge, 2019)
Nicola Casarini and Michito Tsuruoka, "Non-Proliferation," in Emil Kirchner and Han Dorussen (eds.), EU-Japan Security Cooperation: Trends and Prospects (Abingdon: Routledge, 2019).
I co-authored the chapter on non-proliferation with Nicola Casarini, a great friend of mine at IAI, Rome. I enjoyed this book project, which brought me to Berlin and Kobe for its workshops in 2017. Special thanks go to the two editors, Emil and Han, as well as my co-author Nicola.
Routledge website: https://www.routledge.com/EU-Japan-Security-Cooperation-Trends-and-Prospects/Kirchner-Dorussen/p/book/9781138315808?fbclid=IwAR0CGdDNkUP9KczHPWmKf21mJ8bgY3fUB-orygUyoR3uBXPqLxT29HlxuYk
A review of the book by Liselotte Odgaard at Hudson Institute's website:
https://www.hudson.org/research/14856-eu-japan-security-cooperation-trends-and-prospects
英Routledge社から、日EU安全保障協力に関する共著が出ました。私は、旧知の研究仲間で伊IAIのNicola Casariniと共著で不拡散に関する章を担当しました。大量破壊兵器の拡散問題における日EU 協力に加え、核軍縮や北朝鮮問題、輸出管理などについても触れました。このプロジェクトではベルリンや神戸で行われたワークショップの機会に、編者の2人をはじめ、さまざまな執筆者の方とお会いできたのもよい思い出です。
このプロジェクトの拡大版として、現在は、特に欧州側はかなり共通する顔ぶれで、EU・アジア安全保障協力についての企画が進行中で、今年の4月にはシンガポールでワークショップがありました。私は再びNicola Casariniと一緒に不拡散の章を担当します。出版までにはまだしばらく時間がかかると思いますが、引き続きよろしくお願いいたします。
I co-authored the chapter on non-proliferation with Nicola Casarini, a great friend of mine at IAI, Rome. I enjoyed this book project, which brought me to Berlin and Kobe for its workshops in 2017. Special thanks go to the two editors, Emil and Han, as well as my co-author Nicola.
Routledge website: https://www.routledge.com/EU-Japan-Security-Cooperation-Trends-and-Prospects/Kirchner-Dorussen/p/book/9781138315808?fbclid=IwAR0CGdDNkUP9KczHPWmKf21mJ8bgY3fUB-orygUyoR3uBXPqLxT29HlxuYk
A review of the book by Liselotte Odgaard at Hudson Institute's website:
https://www.hudson.org/research/14856-eu-japan-security-cooperation-trends-and-prospects
英Routledge社から、日EU安全保障協力に関する共著が出ました。私は、旧知の研究仲間で伊IAIのNicola Casariniと共著で不拡散に関する章を担当しました。大量破壊兵器の拡散問題における日EU 協力に加え、核軍縮や北朝鮮問題、輸出管理などについても触れました。このプロジェクトではベルリンや神戸で行われたワークショップの機会に、編者の2人をはじめ、さまざまな執筆者の方とお会いできたのもよい思い出です。
このプロジェクトの拡大版として、現在は、特に欧州側はかなり共通する顔ぶれで、EU・アジア安全保障協力についての企画が進行中で、今年の4月にはシンガポールでワークショップがありました。私は再びNicola Casariniと一緒に不拡散の章を担当します。出版までにはまだしばらく時間がかかると思いますが、引き続きよろしくお願いいたします。
2019/06/07
日仏安全保障・防衛協力の時代/A New Japan-France Strategic Partnership
去年のことになってしまいましたが、2018年は日本とフランスの外交関係樹立160周年でした。そうした背景もあり、仏革命記念日のパレードに自衛隊が参加したことに象徴されるように、安全保障・防衛面でも動きがありました。
そこで、日仏の安全保障・防衛協力について、日本語と英語で、それぞれ小文を書きました。下記です。
【仏革命記念日パレードに参加した陸上自衛隊部隊】
(写真:防衛省ウェブサイト)
上記の仏国際関係研究所(Ifri)から刊行の私の英語の小文は日本側からの視点でして、同研究所のパジョン研究員が、フランス側からの視点を書いています。
また、しばらく前に防衛研究所で、日英協力と日仏協力を比較した論文を書きました。あわせてご覧いただけたらと思います。
2019/06/06
日本国際問題研究所欧州研究会報告書『混迷する欧州と国際秩序』
日本国際問題研究所で実施中の欧州研究会の2018年度報告書『混迷する欧州と国際秩序』(日本国際問題研究所、2019年3月)が同研究所のウェブサイトに掲載されました。
ダウンロード:http://www2.jiia.or.jp/pdf/research/H30_Europe/
私は第9章「ポストINF条約のNATOと欧州安全保障」を寄稿しました。米国によるINF条約離脱方針に対するNATOの支持表明がなされるまでの過程を検証したうえで、INF条約後のシナリオとして、新型の中距離ミサイル配備や巡航ミサイル防衛などの課題を検討しました。
ダウンロード:http://www2.jiia.or.jp/pdf/research/H30_Europe/
私は第9章「ポストINF条約のNATOと欧州安全保障」を寄稿しました。米国によるINF条約離脱方針に対するNATOの支持表明がなされるまでの過程を検証したうえで、INF条約後のシナリオとして、新型の中距離ミサイル配備や巡航ミサイル防衛などの課題を検討しました。
2019/06/04
INF条約の破棄が示すものーー対露関係とNATOにおける「インテリジェンス外交」
鶴岡路人「INF条約の破棄が示すもの――対露関係とNATOにおける『インテリジェンス外交』」笹川平和財団・国際情勢ネットワーク分析(IINA)、2019年3月8日がIINAのサイトに掲載されました。
記事URL:https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka-europe-Intelligence.html
INF条約に関してはさまざまな論点がありますが、ここでは、NATOにおける議論に着目しました。米国は2014年からロシアのINF条約違反を公に批判してきましたが、ロシアが条約違反状態にあるとの事実認定がNATOにおいては全く進まなかったのです。議論が動き出すのは2017年末以降、本格化するのは2018年春から夏にかけて、そして最終的にNATOとしてロシアの条約違反を一致して認定するのは2018年12月です。トランプ大統領がINF条約からの離脱を表明したのが2018年10月ですから、結局はそれを受けて作業を急いだというのが現実です。
その過程では、条約違反の認定と米国の立場への支持をNATO諸国に対して強く求める米国と、そうであれば証拠(インテリジェンス)を共有せよという欧州との間のぎりぎりの駆け引きがありました。まさに「インテリジェンス外交」です。
記事URL:https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka-europe-Intelligence.html
INF条約に関してはさまざまな論点がありますが、ここでは、NATOにおける議論に着目しました。米国は2014年からロシアのINF条約違反を公に批判してきましたが、ロシアが条約違反状態にあるとの事実認定がNATOにおいては全く進まなかったのです。議論が動き出すのは2017年末以降、本格化するのは2018年春から夏にかけて、そして最終的にNATOとしてロシアの条約違反を一致して認定するのは2018年12月です。トランプ大統領がINF条約からの離脱を表明したのが2018年10月ですから、結局はそれを受けて作業を急いだというのが現実です。
その過程では、条約違反の認定と米国の立場への支持をNATO諸国に対して強く求める米国と、そうであれば証拠(インテリジェンス)を共有せよという欧州との間のぎりぎりの駆け引きがありました。まさに「インテリジェンス外交」です。
2019/06/03
東京財団政策研究所サイト連載「Brexitカウントダウン」
東京財団政策研究所のウェブサイトで、「Brexitカウントダウン」と題した連載を2019年3月初旬から始めました。当時は離脱延期がささやかれていたものの、まだ3月末に英国のEU離脱が実現する可能性もあり、いずれにしても最終段階のカウントダウンかと思って始めた連載でした。しかし、英国の離脱期日はすでに2度にわたり延長され、現在は2019年10月31日になっています。これもさらに延長される可能性があります。「出る出る」といいながら、なかなか出ない(出られない)状況が続いているのです。
ただ、Brexitをめぐる英国政治の混迷ぶりは深刻ですし、内外の予測をはるかに超える事態です。同時にEU側においても、Brexit問題に対処し続けなければならない状態が続くことへの苛立ちがつのっています。
そうしたなか、この連載では、英国の視点とともにEU側の視点、さらには日本のような域外諸国の視点を交え、最終段階を迎えたBrexitにさまざまな視点からアプローチしたいと考えています。すでに(1)から(10)までが東京財団政策研究所のサイトにアップされています。今後も、Brexitをめぐる情勢の推移を踏まえながら、非定期で論考をアップしていく予定です。引き続きよろしくお願いいたします。
【これまでの連載記事】
(10) 離脱撤回の理想と現実(後編)(2019/6/3)
(9) 離脱撤回の理想と現実(前編)(2019/5/31)
(8) 再度の国民投票、「承認のための投票」とは何か (2019/5/23)
(7) 再度の延期による仕切り直し(2019/4/19)
(6)「主権を取り戻す」とは何だったのか(2019/4/5)
(5) 離脱延期への厳しい対応で示されたEUの本音(2019/3/29)
(4) 北アイルランド「安全策(バックストップ)」とは何か (2019/3/22)
(3) 延期に向かうBrexit――「三度目の正直」か大幅延期か(2019/3/18)
(2) 決断の週に向けた政治的計算――「現行合意」対「合意なし」対「延期・残留」(2019/3/8)
(1) 混迷するBrexit―なぜこんなことになってしまったのか…(2019/3/4)
ただ、Brexitをめぐる英国政治の混迷ぶりは深刻ですし、内外の予測をはるかに超える事態です。同時にEU側においても、Brexit問題に対処し続けなければならない状態が続くことへの苛立ちがつのっています。
そうしたなか、この連載では、英国の視点とともにEU側の視点、さらには日本のような域外諸国の視点を交え、最終段階を迎えたBrexitにさまざまな視点からアプローチしたいと考えています。すでに(1)から(10)までが東京財団政策研究所のサイトにアップされています。今後も、Brexitをめぐる情勢の推移を踏まえながら、非定期で論考をアップしていく予定です。引き続きよろしくお願いいたします。
連載記事一覧ページ:
【これまでの連載記事】
(10) 離脱撤回の理想と現実(後編)(2019/6/3)
(9) 離脱撤回の理想と現実(前編)(2019/5/31)
(8) 再度の国民投票、「承認のための投票」とは何か (2019/5/23)
(7) 再度の延期による仕切り直し(2019/4/19)
(6)「主権を取り戻す」とは何だったのか(2019/4/5)
(5) 離脱延期への厳しい対応で示されたEUの本音(2019/3/29)
(4) 北アイルランド「安全策(バックストップ)」とは何か (2019/3/22)
(3) 延期に向かうBrexit――「三度目の正直」か大幅延期か(2019/3/18)
(2) 決断の週に向けた政治的計算――「現行合意」対「合意なし」対「延期・残留」(2019/3/8)
(1) 混迷するBrexit―なぜこんなことになってしまったのか…(2019/3/4)
2018/12/22
返還後の北方領土への米軍駐留をめぐる論点――ドイツ統一とNATO拡大の事例から考える
鶴岡路人「返還後の北方領土への米軍駐留をめぐる論点――ドイツ統一とNATO拡大の事例から考える(1)、(2)」笹川平和財団・国際情勢ネットワーク分析(IINA)、2018年12月14日が笹川平和財団IINAのウェブサイトに掲載されました。
記事URL(1):https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka-europe-uspre1.html
記事URL(2):https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka-europe-uspre2.html
北方領土返還をめぐる日ロ交渉が本格化していますが、ロシア側の最大の懸念は、返還(ロシアにとっては「引き渡し」)後にそこに米軍が駐留する可能性です。たとえ現時点および予見し得る将来において米国がそれら地域(例えば歯舞・色丹)への駐留を予定していなかったとしても、そして、日本政府が将来においてもそれを認めない方針だったとしても、ロシアの懸念は荒唐無稽な誤解とは言い切れません。というのも、たとえ面積としては小さくても、北方領土の返還は「日米同盟の拡大」であり、駐留しないことに関するしっかりとした保証(assurance)が欲しいわけです。そのためには、日本のみによる約束では効果がありませんで、米国の完全なコミットメントが求められます。
旧ソ連・ロシアの近隣・隣接地域での比較可能な事例として、1990年のドイツ統一と、1990年代末からのNATOの東方拡大があります。いずれのケースでも、外国(NATO諸国)部隊の駐留を制限することで形で、旧ソ連・ロシアと西側との交渉が妥結しました。
別の観点からいえば、外国部隊の駐留を制限することによって、ドイツ統一やNATO拡大へのロシアの反対を乗り越えることができたというわけです。これらはロシアに対する保証であり、交渉が妥結させるにあたって、必要かつ効果的だったのです。
北方領土に関して、プーチン大統領をはじめとするロシア側関係者が、米軍駐留問題に盛んに言及していること自体は全く驚きではありませんで、ドイツ統一やNATO拡大の事例にかんがみれば、解決策についても、考えられる可能性はおのずと明らかです。問題は、この問題に関する合意を実現するには、日露交渉のみならず、あるいはそれ以上に日米交渉、そしてさらには米露交渉が重要になるということです。
今日の最大の問題は、米露関係が、このようなデリケートな問題に関する詰めの交渉を行えるような状況ではないようにみえることです。いずれにしても、この問題の解決がなければ、北方領土の返還は、たとえ1島でも2島でも現実的ではありません。
記事URL(1):https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka-europe-uspre1.html
記事URL(2):https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka-europe-uspre2.html
北方領土返還をめぐる日ロ交渉が本格化していますが、ロシア側の最大の懸念は、返還(ロシアにとっては「引き渡し」)後にそこに米軍が駐留する可能性です。たとえ現時点および予見し得る将来において米国がそれら地域(例えば歯舞・色丹)への駐留を予定していなかったとしても、そして、日本政府が将来においてもそれを認めない方針だったとしても、ロシアの懸念は荒唐無稽な誤解とは言い切れません。というのも、たとえ面積としては小さくても、北方領土の返還は「日米同盟の拡大」であり、駐留しないことに関するしっかりとした保証(assurance)が欲しいわけです。そのためには、日本のみによる約束では効果がありませんで、米国の完全なコミットメントが求められます。
旧ソ連・ロシアの近隣・隣接地域での比較可能な事例として、1990年のドイツ統一と、1990年代末からのNATOの東方拡大があります。いずれのケースでも、外国(NATO諸国)部隊の駐留を制限することで形で、旧ソ連・ロシアと西側との交渉が妥結しました。
別の観点からいえば、外国部隊の駐留を制限することによって、ドイツ統一やNATO拡大へのロシアの反対を乗り越えることができたというわけです。これらはロシアに対する保証であり、交渉が妥結させるにあたって、必要かつ効果的だったのです。
北方領土に関して、プーチン大統領をはじめとするロシア側関係者が、米軍駐留問題に盛んに言及していること自体は全く驚きではありませんで、ドイツ統一やNATO拡大の事例にかんがみれば、解決策についても、考えられる可能性はおのずと明らかです。問題は、この問題に関する合意を実現するには、日露交渉のみならず、あるいはそれ以上に日米交渉、そしてさらには米露交渉が重要になるということです。
今日の最大の問題は、米露関係が、このようなデリケートな問題に関する詰めの交渉を行えるような状況ではないようにみえることです。いずれにしても、この問題の解決がなければ、北方領土の返還は、たとえ1島でも2島でも現実的ではありません。
2018/12/11
Responding to North Korea: Challenges for Tokyo
Michito Tsuruoka, "Responding to North Korea: Challeges for Tokyo," Monde Chinois, No. 53 (2018) was published earlier this year.
It is a special issue on the North Korean crisis of the Monde Chinois, a French journal specialised in Chinese/Asian affairs. The editor of the special issue Marianne Peron-Doise kindly invited me to contribute a piece on Japan's perspective.
Publisher's website: http://eska-publishing.com/fr/monde-chinois/1132849-monde-chinois-53-mc20185300-peninsule-coreenne-crise-dissuasion-negociations.html
<Abstract of my paper>
Tokyo is responding to the North Korean crisis – domestically, in the context of the alliance with the United States and more broadly on the international scene – and this article will put it in a broader context of Japan’s security and defence discourse. One can see that Tokyo’s capability and willingness to address the security threats and challenges have increased substantially over the decade, not least under Prime Minister Shinzo Abe. There remains crucial choices to be done to ensure an appropriate level of security to the country : as the BMD is offering a limited protection, others options are being more explored today.
It is a special issue on the North Korean crisis of the Monde Chinois, a French journal specialised in Chinese/Asian affairs. The editor of the special issue Marianne Peron-Doise kindly invited me to contribute a piece on Japan's perspective.
Publisher's website: http://eska-publishing.com/fr/monde-chinois/1132849-monde-chinois-53-mc20185300-peninsule-coreenne-crise-dissuasion-negociations.html
<Abstract of my paper>
Tokyo is responding to the North Korean crisis – domestically, in the context of the alliance with the United States and more broadly on the international scene – and this article will put it in a broader context of Japan’s security and defence discourse. One can see that Tokyo’s capability and willingness to address the security threats and challenges have increased substantially over the decade, not least under Prime Minister Shinzo Abe. There remains crucial choices to be done to ensure an appropriate level of security to the country : as the BMD is offering a limited protection, others options are being more explored today.
2018/12/09
Japan's Indo-Pacific Engagement: The Rationale and Challenges
Michito Tsuruoka, "Japan's Indo-Pacific Engagement: The Ratioale and Challenges," Commentary, Italian Institute for International Political Studies (ISPI), 4 June 2018 is availale online.
Aarticle URL: https://www.ispionline.it/en/pubblicazione/japans-indo-pacific-engagement-rationale-and-challenges-20691
This is part of a series of short pieces (Dossier) on the geopolitics of the Indo-Pacific region, coordinated by Axel Berkofsky, including pieces by Dhruva Jaishanker, Thomas Wilkins, Brad Glosserman and others.
Dossier URL: https://www.ispionline.it/en/pubblicazione/indo-pacific-towards-transformation-asias-geopolitics-20698
Aarticle URL: https://www.ispionline.it/en/pubblicazione/japans-indo-pacific-engagement-rationale-and-challenges-20691
This is part of a series of short pieces (Dossier) on the geopolitics of the Indo-Pacific region, coordinated by Axel Berkofsky, including pieces by Dhruva Jaishanker, Thomas Wilkins, Brad Glosserman and others.
Dossier URL: https://www.ispionline.it/en/pubblicazione/indo-pacific-towards-transformation-asias-geopolitics-20698
2018/12/07
The Transatlantic Community and Japan under Pressure
Michito Tsuruoka, "A Community of Shared Values: The Transatlantic Community and Japan under Pressure," Atlantic Community, 17 April 2018 is available online.
Article URL: https://atlantic-community.org/a-community-of-shared-values-the-transatlantic-view-from-japan/
This short piece discusses Japan's views on the changing nature of the transatlantic community in the era of Donald Trump. Tokyo expects the transatlantic relationship to remain in a good shape and still believes that Europe and the US share values and interest a lot more than with others, particularly Russia and China.
Article URL: https://atlantic-community.org/a-community-of-shared-values-the-transatlantic-view-from-japan/
2018/12/04
岐路に立つ米欧関係と欧州「自律性」の模索(『外交』寄稿論文)
「岐路に立つ米欧関係と欧州『自律性』の模索」と題した小文を『外交』第49号(2018年5-6月号)に掲載いたしました。
外務省紹介サイト:https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/gaikou/vol49.html
今回は(といってもしばらく前ですが・・・)、トランプ政権下でさまざまに揺さぶられている米欧関係を、変化とともに従来からの連続性のなかで考えてみました。国防予算の水準を中心としたバードン・シェアリングをめぐる米欧間の議論は厳しさを増していますが、批判を受ける側の欧州では、負担を増やさざるを得ないのであれば、「戦略的自立性(strategic autonomy)」を高めるべきだという議論になります。このあたりが、日米同盟における日本とは異なる部分です。
その場合に、実は米国の側も、「どこまで欧州の自立を認められるか」が問われることになります。バードン・シェアリングは、パワー・シェアリングを伴うべきものであり、バードン(負担)は共有してもパワーは米国が独り占め、というのでは成立しません。もちろん欧州の側には、本当にどこまで安全保障・防衛面での負担を増大させる用意があるかが問われるわけです。ただ少なくとも、国防予算を増やし、装備品の調達を増やすのであれば、米国からの輸入ではなく、欧州内で調達すべきだと考えるのは欧州として自然なことです。この点も、米国からの防衛装備品輸入をトランプ政権懐柔策の重要な柱として使う日本とは状況が違います。
もっとも、これらはいずれも、どちらが正しいという性質の問題ではありません。欧州には欧州の事情と論理があり、日本には日本の事情と論理があるわけです。それでも、互いを考え方を理解しなければ、無用なすれ違いが生まれてしまいますし、それぞれにとっての外交・安保上の選択肢を狭めてしまう結果にもなってしまうのだと思います。
外務省紹介サイト:https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/gaikou/vol49.html
今回は(といってもしばらく前ですが・・・)、トランプ政権下でさまざまに揺さぶられている米欧関係を、変化とともに従来からの連続性のなかで考えてみました。国防予算の水準を中心としたバードン・シェアリングをめぐる米欧間の議論は厳しさを増していますが、批判を受ける側の欧州では、負担を増やさざるを得ないのであれば、「戦略的自立性(strategic autonomy)」を高めるべきだという議論になります。このあたりが、日米同盟における日本とは異なる部分です。
その場合に、実は米国の側も、「どこまで欧州の自立を認められるか」が問われることになります。バードン・シェアリングは、パワー・シェアリングを伴うべきものであり、バードン(負担)は共有してもパワーは米国が独り占め、というのでは成立しません。もちろん欧州の側には、本当にどこまで安全保障・防衛面での負担を増大させる用意があるかが問われるわけです。ただ少なくとも、国防予算を増やし、装備品の調達を増やすのであれば、米国からの輸入ではなく、欧州内で調達すべきだと考えるのは欧州として自然なことです。この点も、米国からの防衛装備品輸入をトランプ政権懐柔策の重要な柱として使う日本とは状況が違います。
もっとも、これらはいずれも、どちらが正しいという性質の問題ではありません。欧州には欧州の事情と論理があり、日本には日本の事情と論理があるわけです。それでも、互いを考え方を理解しなければ、無用なすれ違いが生まれてしまいますし、それぞれにとっての外交・安保上の選択肢を狭めてしまう結果にもなってしまうのだと思います。
2018/12/03
NATO首脳会合とは何だったのかーー米欧同盟の行方
笹川平和財団の国際情報ネットワーク分析(IINA)に「NATO首脳会合とは何だったのか――米欧同盟の行方」(2018年8月1日)を掲載しました。
記事URL:https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka-europe-nato.html
2018年7月11-12日にブリュッセルのNATO本部で行われたNATO首脳会合について、その直後に書いた小文です。トランプ大統領の大立ち回りがあり、報道としては、まさに「トランプ劇場」に終始した感じですが、首脳会合の宣言文書を読むと、意外なことに非常に沢山の実質的成果があった首脳会合だったことが分かります。
マティス国防長官を筆頭に、ハッチソンNATO大使なども尽力し、いわば「トランプ大統領からNATOを守った」ということのようでして、それはそれで成功だったのかもしれません。しかし、このやり方がいつまで続くかは楽観できません。
ただ、この秋にノルウェーで実施されたNATOの統合演習(Trident Juncture)は、まさにブリュッセル首脳会合での合意事項に沿ったものでして、その方向でNATOの変革、特に対露抑止態勢の強化が進められていることは確かなようです。トランプ時代のNATOについては、引き続きさまざまなところでフォローしていきます。
記事URL:https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka-europe-nato.html
2018年7月11-12日にブリュッセルのNATO本部で行われたNATO首脳会合について、その直後に書いた小文です。トランプ大統領の大立ち回りがあり、報道としては、まさに「トランプ劇場」に終始した感じですが、首脳会合の宣言文書を読むと、意外なことに非常に沢山の実質的成果があった首脳会合だったことが分かります。
マティス国防長官を筆頭に、ハッチソンNATO大使なども尽力し、いわば「トランプ大統領からNATOを守った」ということのようでして、それはそれで成功だったのかもしれません。しかし、このやり方がいつまで続くかは楽観できません。
ただ、この秋にノルウェーで実施されたNATOの統合演習(Trident Juncture)は、まさにブリュッセル首脳会合での合意事項に沿ったものでして、その方向でNATOの変革、特に対露抑止態勢の強化が進められていることは確かなようです。トランプ時代のNATOについては、引き続きさまざまなところでフォローしていきます。
2018/12/02
イギリスのTPP参加?
ハフポスト日本版に「イギリスのTPP参加?まずは『ソフトBrexit』実現が優先課題」(2018年11月19日)と題した小文を掲載しました。
EU・英国間の離脱交渉はひとまず妥結したものの、英国議会での離脱協定の承認は難航しそうな状況です。そのためまだ今後どうなるか分かりませんが、並行して、英国のEU離脱後のTPP参加の問題が、日本でもときおり話題になっています。日本国内では、英国のTPP参加を歓迎する、ないしさらに踏み込んでそれを「促す」といった声が聞こえます。
しかし、そもそもEU離脱後の英国がTPPに入れるほどの貿易政策の自由度を得られるか否かは、EUからの離脱の形態次第であり、TPPに参加できるということは、EU単一市場・関税同盟との関係が弱くなるということです。これは、いわゆる「ハードBrexit(離脱)」でして、英国に進出した日本企業の利益には反します。つまり、日本の立場として、「英国のTPP参加を支持する・促すこと」と、「日本企業に(Brexitによる)影響が出ないようにする」ことは全く両立しないのが現実です。
そのことは英国自身がもちろん分かっていまして、だからこそ実はTPP参加についても、「潜在的に」その可能性を追求するといっているに過ぎません。まずは英国が、TPPに参加できないほどにEU単一市場・関税同盟と緊密な関係を維持してもらうように期待したいところです。
しばらくこのブログの更新をさぼっておりました・・・。今後、過去の刊行物を含めて、さかのぼって順次アップしていきたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
2018/06/23
CSIS Strategic Japan Program - Working Paper and Podcast
I stayed at the Center for Strategic and International Studies (CSIS) in March 2018 as a Strategic Japan visiting fellow. During my stay there, I published a Working Paper and recorded a podcast, both on Japan-Europe relations.
The title of the Working Paper is "Japan and Europe as Strategic Partners: Opportunities and Challenges" (March 2018) and available here. The program started in 2014 and all the Strategic Japan Working Papers can be found here.
Paper PDF: https://csis-prod.s3.amazonaws.com/s3fs-public/180402_Strategic_Japan_Michito_Tsuruoka_paper%20%28final%29.pdf?pSmCsB3IImuyNihdw.JUiAz4vTI9of8d
All Strategic Japan Working Papers: https://www.csis.org/programs/japan-chair/strategic-japan-working-papers
The Podcast I recorded with Heather Conley, Senior Vice-President for Europe, Eurasia and the Arctic at CSIS, "Japan's Challenges in Eurasia," which also includes an interview with Yoko Hirose, a colleague of mine at Keio University who joined the same program a little earlier than me, can be found here.
Podcast URL: https://www.csis.org/podcasts/cogitasia/japans-challenges-eurasia
Soundcloud link: https://soundcloud.com/csis-57169780/japans-challenges-in-eurasia
Paper PDF: https://csis-prod.s3.amazonaws.com/s3fs-public/180402_Strategic_Japan_Michito_Tsuruoka_paper%20%28final%29.pdf?pSmCsB3IImuyNihdw.JUiAz4vTI9of8d
All Strategic Japan Working Papers: https://www.csis.org/programs/japan-chair/strategic-japan-working-papers
The Podcast I recorded with Heather Conley, Senior Vice-President for Europe, Eurasia and the Arctic at CSIS, "Japan's Challenges in Eurasia," which also includes an interview with Yoko Hirose, a colleague of mine at Keio University who joined the same program a little earlier than me, can be found here.
Podcast URL: https://www.csis.org/podcasts/cogitasia/japans-challenges-eurasia
Soundcloud link: https://soundcloud.com/csis-57169780/japans-challenges-in-eurasia
2018/06/04
The Donald J. Trump Administration as Seen from Tokyo: Will the US-Japan Alliance Remain Unique?
Michito Tsuruoka, "The Donald J. Trump Administration as Seen from Tokyo: Will the US-Japan Alliance Remain Unique?" IAI Papers, 18/02 (Rome: Istituto affari internazionali, January 2018) is available at the IAI website.
The paper examiens the initial phase of the US-Japan relationship under the Trump administration - how Prime Minister Shinzo Abe has tried to establish a new personal relationship with the new president and why Tokyo's approach has been different from many European countries.
Article (PDF): http://www.iai.it/sites/default/files/iaip1802.pdf
イタリア国際問題研究所(IAI)のIAI Papersシリーズに、「日本から見たドナルド・トランプ政権――日米同盟はユニークであり続けるのか」と題した小文(英語)を寄稿しました。2017年末頃までの、いまから振り返れば「トランプ・安倍蜜月」だった時期を主に対象にし、トランプ大統領の懐に飛び込むような安倍外交がいかに実現可能だったかを、欧州諸国の対トランプ政権アプローチとの比較で論じました。
また、NATO諸国に対しては、バードン・シャアリングの一環でGDP比2パーセントの国防予算支出を強く求めつつ、日本に大して防衛予算増額の要求は(いまのところ)聞かれません。これについても、NATOと日米同盟の比較で考えてみました。
基本的な議論は、以前に日本語で発表していた下記の拙稿に沿ったものです。
The paper examiens the initial phase of the US-Japan relationship under the Trump administration - how Prime Minister Shinzo Abe has tried to establish a new personal relationship with the new president and why Tokyo's approach has been different from many European countries.
Article (PDF): http://www.iai.it/sites/default/files/iaip1802.pdf
イタリア国際問題研究所(IAI)のIAI Papersシリーズに、「日本から見たドナルド・トランプ政権――日米同盟はユニークであり続けるのか」と題した小文(英語)を寄稿しました。2017年末頃までの、いまから振り返れば「トランプ・安倍蜜月」だった時期を主に対象にし、トランプ大統領の懐に飛び込むような安倍外交がいかに実現可能だったかを、欧州諸国の対トランプ政権アプローチとの比較で論じました。
また、NATO諸国に対しては、バードン・シャアリングの一環でGDP比2パーセントの国防予算支出を強く求めつつ、日本に大して防衛予算増額の要求は(いまのところ)聞かれません。これについても、NATOと日米同盟の比較で考えてみました。
基本的な議論は、以前に日本語で発表していた下記の拙稿に沿ったものです。
- 鶴岡路人「全てが振り出しに戻ったトランプ大統領の欧州訪問――日本にとっても対岸の火事ではない」ハフポスト日本版(2017年5月29日)
- 鶴岡路人「トランプ政権の誕生と欧州ーー『トランプ現象』波及への懸念とバードン・シェアリング」『世界経済評論』(2017年3-4月号)
2018/06/03
残り一年を切ったBrexit(2)――EUはどう変わるか
笹川平和財団の国際情報ネットワーク分析(IINA)に、「残り一年を切ったBrexit(2)――EUはどう変わるか」(2018年5月30日)を寄稿しました。
今回はBrexitにともなうEU側の変化に着目し、EUにおけるパワーバランスの変化、英国を懐かしむ「英国ロス」感情、中小国による新たな連合形成の動き、そしてEUの不可避的な階層化などを取り上げました。離脱交渉もそろそろ山場ですが、EU27にとっては、離脱交渉よりも英国離脱後のEUの運命の方が優先度の高い課題です。
今回は後編でして、前編「残り一年を切ったBrexit(1)――EU・英国関係はどこに向かうのか」(2018年5月8日)では、副題のとおり、EU・英国関係を、アイルランド国境問題や関税同盟問題を中心に考えてみました。あわせてご覧ください。
今回は後編でして、前編「残り一年を切ったBrexit(1)――EU・英国関係はどこに向かうのか」(2018年5月8日)では、副題のとおり、EU・英国関係を、アイルランド国境問題や関税同盟問題を中心に考えてみました。あわせてご覧ください。
2018/05/26
残り一年を切ったBrexit(1)――EU・英国関係はどこに向かうのか
笹川平和財団(SPF)の国際情報ネットワーク分析(IINA・「いいな」)に、「残り一年を切ったBrexit(1)――EU・英国関係はどこに向かうのか」(2018年5月8日)を寄稿しました。
記事URL:https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka-europe-brexit.html
4月下旬に書いた原稿ですが、特に、北アイルランド国境問題に関連しての関税同盟・単一市場問題は、その後も熱い議論――すなわち、メイ政権としても決定できない状況――が続いています。現実的な解決策は明確だが、それが政治的に受け入れ困難であるが故に時間ばかりが経ってしまう、という構図です。これまでEUとの離脱交渉では、譲歩に譲歩を迫られてきたメイ政権もまさに正念場です。
「残り一年を切ったBrexit」は、3回シリーズでIINAに掲載予定です。(2)では、BrexitにともなうEU側の変化を取り上げます。近日中にアップされるはずです。
記事URL:https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka-europe-brexit.html
4月下旬に書いた原稿ですが、特に、北アイルランド国境問題に関連しての関税同盟・単一市場問題は、その後も熱い議論――すなわち、メイ政権としても決定できない状況――が続いています。現実的な解決策は明確だが、それが政治的に受け入れ困難であるが故に時間ばかりが経ってしまう、という構図です。これまでEUとの離脱交渉では、譲歩に譲歩を迫られてきたメイ政権もまさに正念場です。
「残り一年を切ったBrexit」は、3回シリーズでIINAに掲載予定です。(2)では、BrexitにともなうEU側の変化を取り上げます。近日中にアップされるはずです。
2018/05/21
国際秩序をめぐる攻防の時代(『国際安全保障』特集号)
国際安全保障学会編『国際安全保障』第45巻第4号(2018年3月)、特集「国際秩序をめぐる攻防の時代」が刊行されました。鶴岡が編集主任を務め、特集論文の執筆陣には、玉置敦彦、小泉悠、山口信治、白鳥潤一郎という、若手を中心とした、まさに新進気鋭の皆さんにご参加いただきました。
今回は、『国際安全保障』の特集号としては異例だったかと思いますが、執筆者間で研究会を2度実施しました。問題意識を共有するのみならず、原稿にコメントし合うなど、作成過程も非常に充実し、楽しい時間でした。このところ、さまざまな雑誌が国際秩序に関連した特集を組んでいますが、外交・安全保障の観点から、今回の特集が何らかの貢献ができたのであれば嬉しいことです。執筆者、そしてその他関係者の皆様、大変お世話になりました。改めて感謝いたします。
国際安全保障学会サイト:
http://is-japan.org/journal/articles_jp.html#45_4
内外出版株式会社サイト(オンラインストア):
http://www.naigai-group.co.jp/_2018/04/454.html
今回は、『国際安全保障』の特集号としては異例だったかと思いますが、執筆者間で研究会を2度実施しました。問題意識を共有するのみならず、原稿にコメントし合うなど、作成過程も非常に充実し、楽しい時間でした。このところ、さまざまな雑誌が国際秩序に関連した特集を組んでいますが、外交・安全保障の観点から、今回の特集が何らかの貢献ができたのであれば嬉しいことです。執筆者、そしてその他関係者の皆様、大変お世話になりました。改めて感謝いたします。
国際安全保障学会サイト:
http://is-japan.org/journal/articles_jp.html#45_4
内外出版株式会社サイト(オンラインストア):
http://www.naigai-group.co.jp/_2018/04/454.html
2018/04/03
英国での元スパイ毒殺未遂事件に、なぜ欧州は強く反応したのか
ハフポスト日本版に「英国での元スパイ毒殺未遂事件に、なぜ欧州は強く反応したのか」(2018年4月2日)と題した小文を掲載しました。
記事URL:https://www.huffingtonpost.jp/michito-tsuruoka/eu-spy-russia_a_23400053/
内容はタイトルのとおりでして、3月4日に英ソールズベリーで発生した元ロシアスパイのセルゲイ・スクリパリ氏の毒殺未遂事件への欧州諸国、EU、NATOの反応を分析したものです。
加えて、やはりいろいろ考えさせられるのは日本の対応です。これについても後半部分で触れました。やみくもに日本もロシア外交官を何人か追放すればよいとは必ずしも思わないのですが、ロシアとの関係が「これまで通り(business as usual)」でよいのかは、日本外交にとってのプラスとマイナスを冷徹に計算するなかで改めて検討しなければならないと考えています。
今回の事件について日本では、「欧米とロシアが対立している」といった他人事的雰囲気や、「スパイ小説のような」云々といったワイドショー的取り上げ方が多い気がしますが、日本にとっても他人事ではない、政治・外交・安全保障上の深刻な課題です。
記事URL:https://www.huffingtonpost.jp/michito-tsuruoka/eu-spy-russia_a_23400053/
内容はタイトルのとおりでして、3月4日に英ソールズベリーで発生した元ロシアスパイのセルゲイ・スクリパリ氏の毒殺未遂事件への欧州諸国、EU、NATOの反応を分析したものです。
加えて、やはりいろいろ考えさせられるのは日本の対応です。これについても後半部分で触れました。やみくもに日本もロシア外交官を何人か追放すればよいとは必ずしも思わないのですが、ロシアとの関係が「これまで通り(business as usual)」でよいのかは、日本外交にとってのプラスとマイナスを冷徹に計算するなかで改めて検討しなければならないと考えています。
今回の事件について日本では、「欧米とロシアが対立している」といった他人事的雰囲気や、「スパイ小説のような」云々といったワイドショー的取り上げ方が多い気がしますが、日本にとっても他人事ではない、政治・外交・安全保障上の深刻な課題です。
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