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2020/06/27

在ドイツ米軍削減計画――軍事的合理性と政治的衝動の衝突(笹川平和財団IINA寄稿)





在独米軍削減問題については、米Wall Street Journal紙によるスクープを受けて、すでにさまざまに議論されているところですが、まずは改めて整理。オブライエン大統領補佐官は、同じくWSJ紙上で、この計画を事後的に正当化するようなop-edを出しましたが、今回の話には軍事的合理性は見出しにくく、政治的衝動との側面が強そうです。

だとすれば、中国の脅威ゆえに日米同盟の重要性は揺るがないという、軍事的合理性に基づく議論が安泰とは限らなくなってしまいます。単純な比較は禁物ですが、トランプ政権が他の同盟国とどのように接しているかは常に見ておく必要があります。

小文は6月24日のトランプ・ドゥダ会談の前に脱稿していたのですが、同首脳会談では、在独米軍削減分をポーランドに移駐させるような新たな合意は無し。これはNATOの結束という観点でよかったと思います。直前のNATO事務総長からドゥダ大統領への電話が効いたのか。ポーランド大統領選挙4日前に、さすがに米側も新たなコミットを避けたのか。あるいは、米側でも在独米軍削減について、まだ全く具体的な案がなかっただけなのか。

なお、オブライエンop-edに対しては、大規模駐留は(in partとはいいつつ)「古い」としながら、在独米軍の一部を他の欧州やアジアに移すというのはおかしいといった指摘や、アジアで必要なのは陸軍ではなく海空軍だ、などと突っ込まれていまして、米国内を含めた批判の大きさに焦って、考えを整理する前に急いで正当化を試みたという感じだったのでしょうか。

オブライエンop-ed(2020年6月21日)はこちら:
内容に欠ける米・ポ共同声明(2020年6月24日)はこちら:

トランプのお得意のドイツ批判はしたものの、今一つ盛り上がりに欠けた米・ポ共同記者会見(2020年6月24日)はこちら: