Welcome to Michito Tsuruoka's blog. This space is mainly used to announce my new publications.

2018/02/23

Japan First vs. Global Japan

Michito Tsuruoka, "Japan First Versus Global Japan," The National Interest (14 January 2018) is available online.

URL: http://nationalinterest.org/feature/japan-first-versus-global-japan-24063

This short piece examines the state of Japan's foreign and security policy discourse - particularly looking at the competition between the "Japan First" and "Global Japan" camps. While those in the "Global Japan" camp dominate Japan's voices in the international arena, including various international conferences, the "Japan First" camp remains formidable in the domestic context... The "Global Japan" camp is hardly winning.


米National Interestのサイトに、「Japan First Versus Global Japan(「日本第一」対「グローバル日本」)」という小文を寄稿しました。日本の外交・安全保障政策を巡る日本国内の議論状況を、「日本第一」派と「グローバル日本」派のせめぎ合いとして整理してみました。

URL:http://nationalinterest.org/feature/japan-first-versus-global-japan-24063

端的にいって前者は、「日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増すなかで、有する資源は全て、北朝鮮と尖閣という最優先課題に傾注すべきで、それ以外を考える余裕はない」という立場であり、後者は、「日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増しているからこそ、新たなパートナーも必要であり、グローバルな関与がいままで以上に求められている」と主張しています。

日本人が日本で観察している限り、前者の「日本第一」派のような考え方が優勢であることは感覚的に理解している人が多いと思います。しかし、国際会議に出席したり、海外の専門家と議論したりしていると、「グローバル日本」派の見方が実態以上に浸透していることに気付かされます。特に英語での発信という観点では、やはり「グローバル日本」派の人の声が大きくなりがちな結果なんだと思います。(かくいう私もその片棒を担いでいるのだと思いますが・・・。)そんな背景があり、この問題をまずは英語で何とか説明できないか、というのがこの小文です。いずれ、もう少し長い、しっかりした論文にしたいところです。

2018/02/18

Interview with The Ukrainian Week

My interview with The Ukrainian Week appeared in its January 2018 issue. It is an English edition of "Tyzhden," Ukraine's leading news magazine. I spoke to them when I visited Kyiv in November 2017 and discussed Japan and the North Korean crisis, the Japan-US alliance and Japan-NATO cooperation among other issues.

PDF: http://i.tyzhden.ua/content/photoalbum/2018/01_2018/23/uw/Book_1.pdf
Ukrainian: http://tyzhden.ua/World/207880





2018/02/01

短評:ミュラー『ポピュリズムとは何か』

しばらく前ですが、東京財団の「2017年に読んだおすすめの本」という企画に、ヤン=ヴェルナー・ミュラー(板橋拓己訳)『ポピュリズムとは何か』(岩波書店、2017年)の短評を寄稿しました。短いですので、全文を下記に転載します。リンクはこちらです。他の研究員もそれぞれに興味深い本を挙げています。

東京財団サイト:https://www.tkfd.or.jp/research/research_other/rssmfy#tsuruoka


【短評】(東京財団サイトより)

2017年もまた、「ポピュリズム」という言葉を無視しては過ごせない年になってしまった。フランスの大統領選挙ではマクロン候補の勝利により極右国民戦線の大統領誕生が阻止されたものの、火種は各国でくすぶっている。

ポピュリスト勢力とともに、ポピュリズム批判も巷に溢れているが、そもそもポピュリズムとは何なのか。民主主義を活性化させるために、大衆の声を聞くという意味のポピュリズムはむしろ有用なのではないかとの声もある。そうした、「ポピュリズムも必要悪」といった見方を一刀両断にし、ポピュリズムは民主主義への脅威であると明確に位置づけるのがミュラーの議論である。

著者は、「自分たちが、それも自分たちだけが真正な人民を代表する」というポピュリストの主張こそが最も危険だという。それは、自らに反対する勢力はすべて異端で正統ではないとの考えそのものであり、反多元主義であるがゆえに、民主主義とは根本的に相容れないというのである。与党と野党が存在し、様々な意見が許されるのが民主主義の根幹であり、ミュラーの指摘は重い。

こうした真剣な警告も、欧米諸国と比較してポピュリスト勢力が成功していない日本ではあまり響かないかもしれない。しかし、重大な出来事が起きてから慌てないためにも、今の段階から考えを深め、対策を考えておくべきだろう。

原著:Jan-Werner Müller, What Is Populism? (The University of Pennsylvania Press, 2016)