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2018/02/01

短評:ミュラー『ポピュリズムとは何か』

しばらく前ですが、東京財団の「2017年に読んだおすすめの本」という企画に、ヤン=ヴェルナー・ミュラー(板橋拓己訳)『ポピュリズムとは何か』(岩波書店、2017年)の短評を寄稿しました。短いですので、全文を下記に転載します。リンクはこちらです。他の研究員もそれぞれに興味深い本を挙げています。

東京財団サイト:https://www.tkfd.or.jp/research/research_other/rssmfy#tsuruoka


【短評】(東京財団サイトより)

2017年もまた、「ポピュリズム」という言葉を無視しては過ごせない年になってしまった。フランスの大統領選挙ではマクロン候補の勝利により極右国民戦線の大統領誕生が阻止されたものの、火種は各国でくすぶっている。

ポピュリスト勢力とともに、ポピュリズム批判も巷に溢れているが、そもそもポピュリズムとは何なのか。民主主義を活性化させるために、大衆の声を聞くという意味のポピュリズムはむしろ有用なのではないかとの声もある。そうした、「ポピュリズムも必要悪」といった見方を一刀両断にし、ポピュリズムは民主主義への脅威であると明確に位置づけるのがミュラーの議論である。

著者は、「自分たちが、それも自分たちだけが真正な人民を代表する」というポピュリストの主張こそが最も危険だという。それは、自らに反対する勢力はすべて異端で正統ではないとの考えそのものであり、反多元主義であるがゆえに、民主主義とは根本的に相容れないというのである。与党と野党が存在し、様々な意見が許されるのが民主主義の根幹であり、ミュラーの指摘は重い。

こうした真剣な警告も、欧米諸国と比較してポピュリスト勢力が成功していない日本ではあまり響かないかもしれない。しかし、重大な出来事が起きてから慌てないためにも、今の段階から考えを深め、対策を考えておくべきだろう。

原著:Jan-Werner Müller, What Is Populism? (The University of Pennsylvania Press, 2016)

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