Welcome to Michito Tsuruoka's blog. This space is mainly used to announce my new publications.

2020/04/05

The Shape of a Japan-UK Free Trade Agreement

Michito Tsuruoka, "The Shape of a Japan-UK Free Trade Agreement: Limiting damages or designing a bold future?" The Diplomat, 2 April 2020.

Article URL: https://thediplomat.com/2020/04/the-shape-of-a-japan-uk-free-trade-agreement/


Also reprinted as Michito Tsuruoka, "The Shape of a Japan-U.K. free trade agreement: Should the aim be limiting damage or designing a bold future?" The Japan Times, 4 April 2020.

Article URL: https://www.japantimes.co.jp/opinion/2020/04/04/commentary/japan-commentary/shape-japan-u-k-free-trade-agreement-2/#.XoljNcj7RPY



There is a trade-off between (1) making the agreement ready on time, thus limiting damage and (2) designing a bold future by showing a new model of the economic partnership between advanced and mature economies. It all depends on the outcome of the EU-UK negotiations. Trade negotiators in Tokyo do not want to conclude a definitive deal with London before knowing the final shape of the EU-UK economic partnership - thus they remain in the wait-and-see mode.

世の中、新型コロナウイルス対応でそれどころではありませんが、Brexit後の日英関係の焦点の一つである日英FTAについて、日本の観点で論点を整理してみました。

移行期間終了時点で日英間の枠組みが消滅することを避けるために、「とりあえず」の協定を結ぶのか、これを好機として、今後の世界の先進国間の経済連携のモデルとなるような野心的な協定を目指すのか。後者の場合は、交渉に時間がかかるために、その前段階として、「とりあえず」の協定を締結する必要が生じるかもしれませんが、日本側では、いかなるFTA(EPA)でも、国会の承認を得なければならないとの事情があり、これを2度も行うのは避けたいとの考慮もあります。

そのため、まずはEU・英国間のFTA交渉がどうなるのか、2020年末までの移行期間が延長されるか否かなどを見極める必要があるというのが基本的姿勢なのだと思います。EU・英国間交渉もコロナウイルスの影響でほとんど停止していますし、日英間では正式な交渉入りができていません。遠隔でのビデオ会議でも、ある程度の話し合いはできますが、FTA交渉は、いくつものセッションが同時並行する大規模なものであり、例えば1週間、朝から晩まで集中的に行うようなものですので、ビデオ会議だけではなかなか厳しそうです。

日英FTAについては、時機を見て日本語でも何か書ければと思っていますが、とりあえずは、The DiplomatないしThe Japan Timesの英文コメンタリーをご覧いただければと思います。

2020/04/01

『EU離脱』書評掲載(『外交』)

『外交』Vol. 60(2020年3・4月号)に、宮下雄一郎先生(法政大学法学部教授)による拙著『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書)の書評が掲載されました。

4頁にわたる素晴らしい書評で、著者の意図を汲み取っていただいたのみならず、それを超えた新たな意義づけをしてもらったようでもあり、嬉しい限りです。ありがとうございます。






2020/03/31

欧州のインド太平洋戦略(『外交』寄稿)

鶴岡路人「欧州のインド太平洋戦略ーー大国間競争時代のEU」『外交』Vol. 60(2020年3・4月号)が刊行されました。

欧州のインド太平洋戦略とはいっても、「欧州」に単一の戦略があるわけではありませんし、仮にその萌芽のようなものがあったとしても、現在は新型コロナウイルスへの対応でそれどころではありません。拙稿では、パンデミックについては全く触れていませんが、それが終息した後の世界は、従来よりもEUにとってさらに厳しいものになっているのではないでしょうか。その意味でも、まずはその基礎条件としての論点を整理しておくことも有用かと思っています。Brexitの影響にも触れております。『外交』の今号は、下記のように全文が無料公開されていますので、この機会にご笑覧いただければ幸いです。






今回は主特集が中東情勢、小特集がヨーロッパです。小特集では、遠藤乾先生の「再定義される欧州 2020年代のEU像」、正木靖外務省欧州局長のインタビュー「駆動する『連結性』の外交戦略」などが掲載されています。

通常は掲載記事のうち数本のみがウェブで無料公開されるのですが、今回は、新型コロナウイルスのために外出が難しい人への配慮として、出版元の都市出版社のウェブサイトで、全ての記事が公開中です。PDFで無料ダウンロード可能です。この機会に是非どうぞ。






2020/03/24

同盟とDNA(『三田評論』)

鶴岡路人「同盟とDNA」『三田評論』(2020年3月号)が、三田評論ONLINEにアップされました。「同盟って何だろう」という文脈で日頃考えていることを随筆的に書いた短いコラムです。

URL:https://www.mita-hyoron.keio.ac.jp/researchers-eye/202003-3.html




同盟をDNA(血や人種)に還元させすぎるのは危険ですし、現実にも合致しませんが、他方でやはり無視できないのではとの思いをずっと持ってきました。米英関係を見てもそうですし、米豪関係もそうです。昨年11月に豪州を訪れたときに、「豪州にとっての対米同盟はDNAの一部ではないか?」と皆さんに質問し続け、またいろいろと考えることができました。

「日本をアジアの英国に」という議論は、米国でも一時流行りましたが、私は一貫して懐疑的です。日米同盟は、いわば「DNAではない同盟」の挑戦として画期的なのだと考えています。

2020/03/22

『EU離脱』(ちくま新書)の紹介掲載

拙著『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書、2020年)の紹介記事が新聞・雑誌にいくつか掲載されました。掲載順に下記のとおりです。






いずれも短いながらも的確かつ好意的な紹介でありがとうございます。『週刊文春』の紹介では、「リアルタイムで情勢を追っていた著者の書きぶりには一抹の狼狽が滲み出ていて、それがなおさら事の深刻さを物語る」とも。実際にお読みいただいた感じがでていて、嬉しいです。

また、インターネット上での書評・紹介もいくつか見つけました。このように丁寧にお読みいただけるのは書き手として最も幸せなことです。ありがとうございます。



2020/03/15

Why Asia needs to worry about transatlantic tensions (ThinkChina)

Michito Tsuruoka, "Why Asia needs to worry about transatlantic tensions," ThinkChina, 13 March 2020 is now available online. ThinkChina is a e-magazine by Singapore's Lianhe Zaobao, launched in autumn 2019.

Article URL: https://www.thinkchina.sg/why-asia-worry-transatlantic-tensions


This is a revised version of what wrote for Taiwan's Liberty Times (自由時報) in February 2020 in Chinese.

See blog post: http://mtsuruoka.blogspot.com/2020/02/blog-post.html

シンガポールの『聯合早報』が2019年秋にスタートした英語のEマガジン「ThinkChina」に、「Why Asia needs to worry about transatlantic tensions」と題して小文を寄稿しました。

2020/03/12

Competing Visions of Japan’s International Engagement (The International Spectator)

Michito Tsuruoka, "Competing Visions of Japan's International Engagement: Japan First vs Global Japan," The International Spectator, Vol. 55, No.  (2020) is now available.

URL: https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/03932729.2020.1712135

[Abstract]
The state and direction of Japan’s international engagement can best be understood as a competition between the ‘Japan first’ and ‘global Japan’ schools of thought. In light of the ever worsening security environment surrounding Japan, the gap between the Japan first school advocating a focus on the immediate needs of Japan’s territorial defence and the global Japan school arguing for more global engagement is widening. The competition between the two will continue to shape the direction of Japan’s foreign and security posture – and importantly, the global Japan school is far from winning, contrary to what Abe’s hyperactive diplomacy might suggest.


An earlier and shorter version appeared as Michito Tsuruoka, "Japan First Versus Global Japan," The National Interest, 14 January 2018.

The International Spectator誌に、"Competing Visions of Japan's International Engagement: Japan First vs Global Japan"と題した論文を寄稿しました。日本の外交安全保障、特に国際的関与の方向性は、「Japan First」と「Global Japan」という2つの基本的立場のせめぎ合いとして理解できるという趣旨です。このテーマは、引き続き深めていくことができればと考えています。

2020/02/29

ブレグジットの面白さがわかる

「ブレグジットの面白さがわかる」と題して、拙著『EU離脱』(ちくま新書、2020年)の新刊紹介がnippon.comに掲載されました。魅力的な紹介をありがとうございます。

記事URL:https://www.nippon.com/ja/japan-topics/bg900137/

ブレグジット自体が「面白い」かのようないい方には若干語弊がありそうですが、もし本が面白いとしたら、やはり題材が面白かったのでしょうね。イギリス側でにもEU側にもさまざまなドラマがありました。


2020/02/28

Lessons from Ogata Sadako on Internationalism in Japan

Michito Tsuruoka, "Lessons from Ogata Sadako on Internationalism in Japan," nippon.com, 27 February 2020 is now online.

URL: https://www.nippon.com/en/in-depth/d00541/lessons-from-ogata-sadako-on-internationalism-in-japan.html

This is an English version of the original Japanese article I wrote for nippon.com in January 2020, talking about Ogata's internationalism and its failure to take root in Japan, particularly in the country's foreign and security policy discourse.

鶴岡路人「日本外交における国際主義の挑戦」nippon.com(2020年1月28日)
URL: https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00541/


2020/02/27

美歐對立影響亞洲(『自由時報』)

鶴岡路人「美歐對立影響亞洲」『自由時報』(2020年2月24日)が掲載されました。台湾の新聞に寄稿した、米欧関係のアジアへの影響に関する小文です。

記事URL:https://talk.ltn.com.tw/article/paper/1354130

米欧対立はアジアにとっても他人事ではなく、さまざまな好ましくない影響が考えられるため、「他人の不幸を喜ぶ(schadenfreude)」ような姿勢は避けるべきだとの論旨です。



2020/02/25

離脱する英国もEUも弱体化、タガが外れる世界の行方

鶴岡路人「離脱する英国もEUも弱体化、タガが外れる世界の行方」JBpress(2020年2月20日)が掲載されました。

記事URL:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59338

拙著『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書、2020年)からの抜粋記事(JBpress担当者による作成)でして、使われているのは主に第8章、終章で議論した将来展望に関する部分です。先日webちくまで公開の「はじめに」とあわせて、これらをきっかけに本を手にとってくださる方が増えると嬉しいです。


2020/02/21

イギリスのEU離脱は必然だったのか(webちくま)

筑摩書房のサイト「webちくま」で、「イギリスのEU離脱は必然だったのか」と題して、拙著『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書)の「はじめに」が公開されました。

URL:http://www.webchikuma.jp/articles/-/1937


この「はじめに」は今回の本のなかでも、主張のある一番尖った部分かと思います。異論もあるかもしれませんが、証拠に基づく冷静な分析をぶつけ合うことができれば、それはよいことだと思っています。詳しくは、上記リンクをご覧いただければと思います。

2020/02/13

波乱のなかったNATOの70周年首脳会合?

鶴岡路人「波乱のなかったNATOの70周年首脳会合?」笹川平和財団・国際情報ネットワーク分析(IINA)(2019年12月18日)を寄稿しました。

記事URL:https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka_11.html

2019年12月の英国でのNATO首脳会合、トランプ大統領に引っ掻き回されることを多くの人が警戒していましたが、意外と平穏でした。破滅的な状況が回避されればよしとするのだとすれば、我々の側での成否の判断ラインが下がりすぎだと思いますが・・・。


今回誕生した新たなNATO用語(?)は、「2%組(two percenters)」。国防支出の対GDP比のNATO目標である2%を達成した諸国のことです。首脳会合終了後、トランプ大統領の「おごり」で、彼らだけの昼食会が開かれました。トランプ大統領はご満悦だったのですが、同盟としては、何だか微妙な展開です・・・。冒頭のビデオを見ると、トランプに促されて各国首脳が発言しているのですが、あの場面ではトランプを褒めるしかないですよね。何だか不自然なぎこちない会合のようでした。そして何より、ストルテンベルク事務総長、お疲れ様でした。ご苦労、お察しいたします。(と、ここに日本語で書いても伝わりませんが。)

Video by White House (YouTube)

2020/01/31

『EU離脱』(ちくま新書)の見本が届きました!

鶴岡路人『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書、2020年)の見本が届きました。2月5日(7日?10日?)の刊行予定日まで秒読みです。そしてイギリスは、EU加盟国としてとして迎える最後の日に・・・。

(カプラ風に積んでみました。)

(ちくま新書のTwitterアカウントから借用)

(ちくま新書のTwitterアカウントから借用)

(ちくま新書のTwitterアカウントから借用)

2020/01/30

Brexitとは何だったのか、何をもたらすのか(「Brexitカウントダウン」最終回)

東京財団政策研究所ウェブサイトでの連載「Brexitカウントダウン」の第22回(最終回)として、鶴岡路人「Brexitとは何だったのか、何をもたらすのか」(2020年1月29日)が同研究所のサイトに掲載されました。

記事URL:https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3321


2019年3月からの連載が今回で終了となります。お付き合いありがとうございました。かなり頻繁な時期もあったため、このブログで紹介できなかったものも多いのですが、第1回から第22回までの全ての記事は下記からリンクされています。

記事一覧URL:https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3128

また、以前にもご紹介のとおり、この連載をもとに大幅に加筆・修正・再構成を行ったものが、鶴岡路人『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書)として2020年2月5日に刊行予定です。あわせて、よろしくお願いいたします。

2020/01/29

日本外交における国際主義の挑戦――緒方貞子氏が問うたもの

鶴岡路人「日本外交における国際主義の挑戦――緒方貞子氏の問うたもの」nippon.com(2020年1月28日)が掲載されました。

記事URL:https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00541/

緒方貞子氏の足跡や人となりについては、生前の氏と関係の深かった方々による追悼記事にお任せし、拙文では、国際政治・日本外交の文脈で緒方氏の主張を改めて考えてみることにしました。一言でいってしまえば、国際主義を標榜したものの、残念ながらそれは日本外交には根付かなかったということなのだと思います。緒方氏からの宿題は重いです。

(写真:nippon.comから)

今回、nippon.comには初めての寄稿になりました。私自身は緒方氏との直接的な接点はほとんどなかったのですが、野村健・納家政嗣編『聞き書 緒方貞子回顧録』(岩波書店、2015年)は、最も好きな本の1冊でして、今回も主としてこれに依拠しながら、緒方氏の考えを私なりに解釈・整理してみました。


岩波書店紹介ページ:https://www.iwanami.co.jp/book/b262005.html

2020/01/25

『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書)

鶴岡路人『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書、2020年)が、2月5日に刊行予定です。すでにAmazon等で予約が始まっています。税込み946円(本体860円)です。出版されましたら改めてご案内しますが、書影ができました。

Amazon.co.jp: https://www.amazon.co.jp/gp/product/448007287X/ref=ox_sc_act_title_6?smid=AN1VRQENFRJN5&psc=1


2020/01/17

米欧関係の展開と日本(『国際問題』)

鶴岡路人「米欧関係の展開と日本――変容する日米欧関係のダイナミズム」『国際問題』(2020年1・2月号)が刊行されました。次号(3月号)が刊行されるまでの期間限定ですが、日本国際問題研究所のウェブサイトで無料でダウンロード可能です。


2020年1・2月号URL:http://www2.jiia.or.jp/BOOK/
拙稿PDF:http://www2.jiia.or.jp/kokusaimondai_archive/2020/2020-01_004.pdf


米欧関係の変調が、欧州の対外関係にいかに影響を及ぼすか、そして、それらは日本にとって何を意味するのかを検討しました。文字数が限られていますので、さまざまな側面を浅くしか扱えませんでしたが、トランプ政権下で日米関係を考えるうえでも、参照事例としての米欧関係を理解することの重要性は上昇しています。

2020/01/06

米英「特別な関係」の行方(笹川平和財団IINA)

鶴岡路人「米英『特別な関係』の行方(前編)――EUの後ろ盾を失う英国」笹川平和財団・国際情報ネットワーク(IINA)(2019年8月28日)

鶴岡路人「米英『特別な関係』の行方(後編)――変わらない信頼と忍び寄る脅威」笹川平和財団・国際情報ネットワーク(IINA)(2019年9月10日)

記事URL(前編):https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka_09.html
記事URL(後編):https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka_10.html



トランプ・ジョンソン時代の米英の「特別な関係」について、笹川平和財団IINAに2回に分けて寄稿しました。前編サブタイトルのとおりでして、Brexitによる英国の対米ポジションの悪化は避けられません。英国にとっては、米国とのFTA交渉が最初の試練になります。

他方で、中国企業ファーウェイの5Gネットワークからの排除をめぐり、米国の立場と英国の立場には現在のところ相違がありますが、この問題に関する米国と他の同盟国との関係(米国によるファーウェイ排除への強い圧力行使)に比べると、米英関係は様子が異なるようです。後編ではこの背景を探ってみました。

2020/01/01

2020年 新年のご挨拶

明けましておめでとうございます。
新しい年をいかがお過ごしでしょうか。
2020年が皆様にとってよい一年になることをお祈りしております。

このブログは、開設以来、基本的に拙稿のご紹介の場として使ってきましたが、この数年、更新が不定期で、本来掲載すべきもののまだ掲載できていないバックログがかなりたまった状態になっておりました・・・。2020年になったのを機に、今後はタイムリーに更新するようにしたいと考えおりますので、よろしくお願いいたします。

研究については、本来、昨年中に刊行されているはずのNATOに関する単著の研究書があったのですが、いろいろとあり、原稿が終わらないままに年を越してしまいました。すでに何年も遅れているプロジェクトでして、NATOが70周年だった2019年中に出せなかったことは、まさに痛恨の極みでした。関係者にもご迷惑をおかけしております。

昨年、NATO以上に気を取られてしまったのが、イギリスのEU離脱(Brexit)問題でした・・・。個人的にも思い入れがあり、複雑な心境にならざるを得ない対象でして、東京財団政策研究所のウェブサイトで「Brexitカウントダウン」として2019年3月から、時評の連載を行いました。当初は数回で終わる予定だったのですが、Brexit自体が延期されたために連載も長引き、結局、2019年年末までに21回の連載となりました。

ただ、2019年12月の英総選挙でジョンソン首相率いる保守党が勝利したことから、ようやく、2020年1月末の離脱実現が現実のものになりました(これに伴い、「Brexitカウントダウン」も近く終了予定です)。

イギリスの離脱日とほぼ重なることになったのは偶然ですが、「Brexitカウントダウン」として連載してきたものを基に、『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書)を、2020年2月5日に刊行することになりました。年末年始は、この校正に追われております・・・。刊行されましたら、このブログでも改めてご紹介いたしますが、すでにAmazonなどでは情報が掲載され、予約注文が可能になっています。少しでも多くの方々にお手にとっていただくことができれば幸いです。

この本の後は、上記NATOに関する研究書、さらには、これまた以前からお約束しているEUに関する教科書、さらには別の新書など、一つ一つ、取り組んでいければと思っております(英語でお約束してる原稿もいくつかありますが・・・)。

引き続きよろしくお願いいたします。

2020年元旦 鶴岡 路人

2019/12/29

「21世紀のシンクタンク・パワー」船橋洋一氏との対談(東洋経済オンライン)

東洋経済オンラインの「21世紀のシンクタンク・パワー」特集の一環で、船橋洋一氏と対談し、下記2本が掲載されました。

「日米同盟の本質は他国と比べないとわからない」東洋経済オンライン(2019年9月5日)
記事URL:https://toyokeizai.net/articles/-/300353

「日本のシンクタンクが欧米に到底勝てない理由」東洋経済オンライン(2019年9月6日)
記事URL:https://toyokeizai.net/articles/-/300356

(写真:東洋経済オンライン)

その他特集記事は下記でアクセス可能です。興味深い対談が多数掲載されています。
「21世紀のシンクタンク・パワー」:https://toyokeizai.net/category/ThinktankPower-21stcent

2019/12/27

INF条約後に日本が直面する課題

鶴岡路人「INF条約後に日本が直面する課題」笹川平和財団・国際情報ネットワーク分析(IINA)(2019年6月6日)

記事URL:https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka_08.html


INF条約後の日本の課題については、米国のミサイルの日本への配備問題がときおり報道されますが、さまざまな角度から何が日本の国益なのかをじっくり検討しておかなければなりませんね。

INF条約失効にいたるNATO内のプロセスと欧州での課題については、下記拙稿をご参照ください。

鶴岡路人「ポストINF条約のNATOと欧州安全保障」平成30年度外務省外交・安全保障調査研究事業『混迷する欧州と国際秩序』(日本国際問題研究所、2019年3月)

論文URL:http://www2.jiia.or.jp/pdf/research/H30_Europe/09-tsuruoka.pdf
報告書URL:http://www2.jiia.or.jp/pdf/research/H30_Europe/

Britain in the Trans-Pacific Partnership after Brexit?

Michito Tsuruoka, "Britain in the Trans-Pacific Partnership?" The Diplomat, 12 November 2019 (online).

Article URL: https://thediplomat.com/2019/11/britain-in-the-trans-pacific-partnership-after-brexit/


My short piece on why the idea of Britain's joining the TPP (CPTPP) is not straightforward. The trade-off between Britain's autonomy in its trade policy and its access to the EU market needs to be taken into account first.

EU離脱後の英国のTPP(CPTPP)参加問題は日本でも関心が高く、また、安倍政権は英国に対してTPP参加を歓迎する旨、繰り返し述べていますが、英国がTPPに参加するためには離脱後のEUとの関係のレベルを引き下げる必要があり、それが日本の利益に合致するとは言いにくいのが現実です。この点に関して、日本語では、以前にハフポスト日本版に寄稿しました。下記です。

鶴岡路人「イギリスのTPP参加?--まずは『ソフトBrexit』実現が優先課題」ハフポスト日本版(2018年11月18日)

記事URL:https://www.huffingtonpost.jp/entry/eu-brexit-tpp11_jp_5c5b8399e4b0faa1cb6848cb

Making Sense of Japan's Approach to Russia

Michito Tsuruoka, "Making Sense of Japan's Approach to Russia," The Diplomat, 5 September 2019 (online).

Article URL: https://thediplomat.com/2019/09/making-sense-of-japans-approach-to-russia/


My short piece on why Prime Minister Abe's commitment to improving relations with Russia remains viable despite the fact that it is increasingly unlikely for Russia to return the Northern Territories to Japan.

See also: https://www.nbr.org/publication/strategic-considerations-in-japan-russia-relations-the-rise-of-china-and-the-u-s-japan-alliance/

2019/07/05

ゼミ紹介(慶應義塾広報誌『塾』、2019年夏号)

慶應義塾の広報誌である『塾』には、「半学半教」というゼミ紹介コーナーがありまして、2019年夏号では私のゼミが紹介されました。まだ3年目の新しいゼミですが、今後楽しく発展させていければと思っています。よろしくお願いいたします。

URL:https://www.keio.ac.jp/ja/about/assets/juku/303/303-09.pdf


2019/06/29

【Brexitカウントダウン・12】Brexitは憲政危機なのか

鶴岡路人「【Brexitカウントダウン・12】Brexitは憲政危機なのか」東京財団政策研究所(2019年6月26日)が東京財団政策研究所のウェブサイトに掲載されました。

記事URL:https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3162
連載一覧URL:https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3128

Brexitをめぐる英国政治の混迷を受け、状況は政策選択をめぐる政治的危機から、英国政治・意思決定の根幹の機能不全を示す憲政危機に発展しているとの議論が英国の内外で提起されています。しかし、何をもって憲政危機とするのかについては慎重な判断が必要なのだと思います。他方で、「憲政危機」という穏当ならざる用語が普通に使われている状況自体が危機的であることはどうやら確かなようです・・・。


2019/06/16

イギリスの防衛外交・防衛関与(笹川平和財団報告書)

鶴岡路人『イギリスの防衛外交・防衛関与――概念の変遷と「英軍ブランド」』笹川平和財団・民間防衛外交研究事業国別事例調査報告書シリーズ(1)(笹川平和財団、2018年9月)が刊行され、同財団ウェブサイトからダウンロード可能です。

英国報告書URL:https://www.spf.org/global-data/2019012811132037.pdf


2017年度から民間防衛外交研究会を実施していまして、まずは英国、フランス(合六強)、オーストラリア(佐竹知彦)が刊行されました。近々、米国(渡部恒雄)と中国(山口信治)が刊行予定です。

報告書一覧ページ:https://www.spf.org/security/publications/20190128.html

2019/06/15

【Brexitカウントダウン・11】首相交代で変わること・変わらないこと

鶴岡路人「【Brexitカウントダウン(11)】首相交代で変わること・変わらないこと」東京財団政策研究所(2019年6月12日)が東京財団政策研究所のウェブサイトに掲載されました。

メイ首相の保守党党首辞任を受け、6月10日に党首選挙が正式に始まりました。7月中には後継首相が就任する見込みです。混迷を深めるBrexitにおいて、首相交代は確かに新たなスタートとなるものですが、Brexitがこうした状況になってしまった基本的な条件が変化するわけではありません。その意味で、「変わること」よりも「変わらないこと」の方が多いのが現実です。

記事URL:https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3148

連載一覧URL:https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3128


2019/06/08

"Non-Proliferation," in EU-Japan Security Cooperation (Routledge, 2019)

Nicola Casarini and Michito Tsuruoka, "Non-Proliferation," in Emil Kirchner and Han Dorussen (eds.), EU-Japan Security Cooperation: Trends and Prospects (Abingdon: Routledge, 2019).

I co-authored the chapter on non-proliferation with Nicola Casarini, a great friend of mine at IAI, Rome. I enjoyed this book project, which brought me to Berlin and Kobe for its workshops in 2017. Special thanks go to the two editors, Emil and Han, as well as my co-author Nicola.

Routledge website: https://www.routledge.com/EU-Japan-Security-Cooperation-Trends-and-Prospects/Kirchner-Dorussen/p/book/9781138315808?fbclid=IwAR0CGdDNkUP9KczHPWmKf21mJ8bgY3fUB-orygUyoR3uBXPqLxT29HlxuYk



A review of the book by Liselotte Odgaard at Hudson Institute's website:
https://www.hudson.org/research/14856-eu-japan-security-cooperation-trends-and-prospects

英Routledge社から、日EU安全保障協力に関する共著が出ました。私は、旧知の研究仲間で伊IAIのNicola Casariniと共著で不拡散に関する章を担当しました。大量破壊兵器の拡散問題における日EU 協力に加え、核軍縮や北朝鮮問題、輸出管理などについても触れました。このプロジェクトではベルリンや神戸で行われたワークショップの機会に、編者の2人をはじめ、さまざまな執筆者の方とお会いできたのもよい思い出です。

このプロジェクトの拡大版として、現在は、特に欧州側はかなり共通する顔ぶれで、EU・アジア安全保障協力についての企画が進行中で、今年の4月にはシンガポールでワークショップがありました。私は再びNicola Casariniと一緒に不拡散の章を担当します。出版までにはまだしばらく時間がかかると思いますが、引き続きよろしくお願いいたします。

2019/06/07

日仏安全保障・防衛協力の時代/A New Japan-France Strategic Partnership

去年のことになってしまいましたが、2018年は日本とフランスの外交関係樹立160周年でした。そうした背景もあり、仏革命記念日のパレードに自衛隊が参加したことに象徴されるように、安全保障・防衛面でも動きがありました。

そこで、日仏の安全保障・防衛協力について、日本語と英語で、それぞれ小文を書きました。下記です。



【仏革命記念日パレードに参加した陸上自衛隊部隊】

(写真:防衛省ウェブサイト)

上記の仏国際関係研究所(Ifri)から刊行の私の英語の小文は日本側からの視点でして、同研究所のパジョン研究員が、フランス側からの視点を書いています。


また、しばらく前に防衛研究所で、日英協力と日仏協力を比較した論文を書きました。あわせてご覧いただけたらと思います。


2019/06/06

日本国際問題研究所欧州研究会報告書『混迷する欧州と国際秩序』

日本国際問題研究所で実施中の欧州研究会の2018年度報告書『混迷する欧州と国際秩序』(日本国際問題研究所、2019年3月)が同研究所のウェブサイトに掲載されました。

ダウンロード:http://www2.jiia.or.jp/pdf/research/H30_Europe/

私は第9章「ポストINF条約のNATOと欧州安全保障」を寄稿しました。米国によるINF条約離脱方針に対するNATOの支持表明がなされるまでの過程を検証したうえで、INF条約後のシナリオとして、新型の中距離ミサイル配備や巡航ミサイル防衛などの課題を検討しました。



2019/06/04

INF条約の破棄が示すものーー対露関係とNATOにおける「インテリジェンス外交」

鶴岡路人「INF条約の破棄が示すもの――対露関係とNATOにおける『インテリジェンス外交』」笹川平和財団・国際情勢ネットワーク分析(IINA)、2019年3月8日がIINAのサイトに掲載されました。

記事URL:https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka-europe-Intelligence.html


INF条約に関してはさまざまな論点がありますが、ここでは、NATOにおける議論に着目しました。米国は2014年からロシアのINF条約違反を公に批判してきましたが、ロシアが条約違反状態にあるとの事実認定がNATOにおいては全く進まなかったのです。議論が動き出すのは2017年末以降、本格化するのは2018年春から夏にかけて、そして最終的にNATOとしてロシアの条約違反を一致して認定するのは2018年12月です。トランプ大統領がINF条約からの離脱を表明したのが2018年10月ですから、結局はそれを受けて作業を急いだというのが現実です。

その過程では、条約違反の認定と米国の立場への支持をNATO諸国に対して強く求める米国と、そうであれば証拠(インテリジェンス)を共有せよという欧州との間のぎりぎりの駆け引きがありました。まさに「インテリジェンス外交」です。

2019/06/03

東京財団政策研究所サイト連載「Brexitカウントダウン」

東京財団政策研究所のウェブサイトで、「Brexitカウントダウン」と題した連載を2019年3月初旬から始めました。当時は離脱延期がささやかれていたものの、まだ3月末に英国のEU離脱が実現する可能性もあり、いずれにしても最終段階のカウントダウンかと思って始めた連載でした。しかし、英国の離脱期日はすでに2度にわたり延長され、現在は2019年10月31日になっています。これもさらに延長される可能性があります。「出る出る」といいながら、なかなか出ない(出られない)状況が続いているのです。

ただ、Brexitをめぐる英国政治の混迷ぶりは深刻ですし、内外の予測をはるかに超える事態です。同時にEU側においても、Brexit問題に対処し続けなければならない状態が続くことへの苛立ちがつのっています。

そうしたなか、この連載では、英国の視点とともにEU側の視点、さらには日本のような域外諸国の視点を交え、最終段階を迎えたBrexitにさまざまな視点からアプローチしたいと考えています。すでに(1)から(10)までが東京財団政策研究所のサイトにアップされています。今後も、Brexitをめぐる情勢の推移を踏まえながら、非定期で論考をアップしていく予定です。引き続きよろしくお願いいたします。

連載記事一覧ページ:


【これまでの連載記事】
(10) 離脱撤回の理想と現実(後編)(2019/6/3)
(9) 離脱撤回の理想と現実(前編)(2019/5/31)
(8) 再度の国民投票、「承認のための投票」とは何か (2019/5/23)
(7) 再度の延期による仕切り直し(2019/4/19)
(6)「主権を取り戻す」とは何だったのか(2019/4/5)
(5) 離脱延期への厳しい対応で示されたEUの本音(2019/3/29)
(4) 北アイルランド「安全策(バックストップ)」とは何か (2019/3/22)
(3) 延期に向かうBrexit――「三度目の正直」か大幅延期か(2019/3/18)
(2) 決断の週に向けた政治的計算――「現行合意」対「合意なし」対「延期・残留」(2019/3/8)
(1) 混迷するBrexit―なぜこんなことになってしまったのか…(2019/3/4)

2018/12/22

返還後の北方領土への米軍駐留をめぐる論点――ドイツ統一とNATO拡大の事例から考える

鶴岡路人「返還後の北方領土への米軍駐留をめぐる論点――ドイツ統一とNATO拡大の事例から考える(1)、(2)」笹川平和財団・国際情勢ネットワーク分析(IINA)、2018年12月14日が笹川平和財団IINAのウェブサイトに掲載されました。

記事URL(1):https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka-europe-uspre1.html
記事URL(2):https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka-europe-uspre2.html


北方領土返還をめぐる日ロ交渉が本格化していますが、ロシア側の最大の懸念は、返還(ロシアにとっては「引き渡し」)後にそこに米軍が駐留する可能性です。たとえ現時点および予見し得る将来において米国がそれら地域(例えば歯舞・色丹)への駐留を予定していなかったとしても、そして、日本政府が将来においてもそれを認めない方針だったとしても、ロシアの懸念は荒唐無稽な誤解とは言い切れません。というのも、たとえ面積としては小さくても、北方領土の返還は「日米同盟の拡大」であり、駐留しないことに関するしっかりとした保証(assurance)が欲しいわけです。そのためには、日本のみによる約束では効果がありませんで、米国の完全なコミットメントが求められます。

旧ソ連・ロシアの近隣・隣接地域での比較可能な事例として、1990年のドイツ統一と、1990年代末からのNATOの東方拡大があります。いずれのケースでも、外国(NATO諸国)部隊の駐留を制限することで形で、旧ソ連・ロシアと西側との交渉が妥結しました。

別の観点からいえば、外国部隊の駐留を制限することによって、ドイツ統一やNATO拡大へのロシアの反対を乗り越えることができたというわけです。これらはロシアに対する保証であり、交渉が妥結させるにあたって、必要かつ効果的だったのです。

北方領土に関して、プーチン大統領をはじめとするロシア側関係者が、米軍駐留問題に盛んに言及していること自体は全く驚きではありませんで、ドイツ統一やNATO拡大の事例にかんがみれば、解決策についても、考えられる可能性はおのずと明らかです。問題は、この問題に関する合意を実現するには、日露交渉のみならず、あるいはそれ以上に日米交渉、そしてさらには米露交渉が重要になるということです。

今日の最大の問題は、米露関係が、このようなデリケートな問題に関する詰めの交渉を行えるような状況ではないようにみえることです。いずれにしても、この問題の解決がなければ、北方領土の返還は、たとえ1島でも2島でも現実的ではありません。

2018/12/11

Responding to North Korea: Challenges for Tokyo

Michito Tsuruoka, "Responding to North Korea: Challeges for Tokyo," Monde Chinois, No. 53 (2018) was published earlier this year.

It is a special issue on the North Korean crisis of the Monde Chinois, a French journal specialised in Chinese/Asian affairs. The editor of the special issue Marianne Peron-Doise kindly invited me to contribute a piece on Japan's perspective.

Publisher's website: http://eska-publishing.com/fr/monde-chinois/1132849-monde-chinois-53-mc20185300-peninsule-coreenne-crise-dissuasion-negociations.html


<Abstract of my paper>
Tokyo is responding to the North Korean crisis – domestically, in the context of the alliance with the United States and more broadly on the international scene – and this article will put it in a broader context of Japan’s security and defence discourse. One can see that Tokyo’s capability and willingness to address the security threats and challenges have increased substantially over the decade, not least under Prime Minister Shinzo Abe. There remains crucial choices to be done to ensure an appropriate level of security to the country : as the BMD is offering a limited protection, others options are being more explored today.

2018/12/07

The Transatlantic Community and Japan under Pressure

Michito Tsuruoka, "A Community of Shared Values: The Transatlantic Community and Japan under Pressure," Atlantic Community, 17 April 2018 is available online.

Article URL: https://atlantic-community.org/a-community-of-shared-values-the-transatlantic-view-from-japan/


This short piece discusses Japan's views on the changing nature of the transatlantic community in the era of Donald Trump. Tokyo expects the transatlantic relationship to remain in a good shape and still believes that Europe and the US share values and interest a lot more than with others, particularly Russia and China.

2018/12/04

岐路に立つ米欧関係と欧州「自律性」の模索(『外交』寄稿論文)

「岐路に立つ米欧関係と欧州『自律性』の模索」と題した小文を『外交』第49号(2018年5-6月号)に掲載いたしました。

外務省紹介サイト:https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/gaikou/vol49.html


今回は(といってもしばらく前ですが・・・)、トランプ政権下でさまざまに揺さぶられている米欧関係を、変化とともに従来からの連続性のなかで考えてみました。国防予算の水準を中心としたバードン・シェアリングをめぐる米欧間の議論は厳しさを増していますが、批判を受ける側の欧州では、負担を増やさざるを得ないのであれば、「戦略的自立性(strategic autonomy)」を高めるべきだという議論になります。このあたりが、日米同盟における日本とは異なる部分です。

その場合に、実は米国の側も、「どこまで欧州の自立を認められるか」が問われることになります。バードン・シェアリングは、パワー・シェアリングを伴うべきものであり、バードン(負担)は共有してもパワーは米国が独り占め、というのでは成立しません。もちろん欧州の側には、本当にどこまで安全保障・防衛面での負担を増大させる用意があるかが問われるわけです。ただ少なくとも、国防予算を増やし、装備品の調達を増やすのであれば、米国からの輸入ではなく、欧州内で調達すべきだと考えるのは欧州として自然なことです。この点も、米国からの防衛装備品輸入をトランプ政権懐柔策の重要な柱として使う日本とは状況が違います。

もっとも、これらはいずれも、どちらが正しいという性質の問題ではありません。欧州には欧州の事情と論理があり、日本には日本の事情と論理があるわけです。それでも、互いを考え方を理解しなければ、無用なすれ違いが生まれてしまいますし、それぞれにとっての外交・安保上の選択肢を狭めてしまう結果にもなってしまうのだと思います。