Welcome to Michito Tsuruoka's blog. This space is mainly used to announce my new publications.

2019/06/29

【Brexitカウントダウン・12】Brexitは憲政危機なのか

鶴岡路人「【Brexitカウントダウン・12】Brexitは憲政危機なのか」東京財団政策研究所(2019年6月26日)が東京財団政策研究所のウェブサイトに掲載されました。

記事URL:https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3162
連載一覧URL:https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3128

Brexitをめぐる英国政治の混迷を受け、状況は政策選択をめぐる政治的危機から、英国政治・意思決定の根幹の機能不全を示す憲政危機に発展しているとの議論が英国の内外で提起されています。しかし、何をもって憲政危機とするのかについては慎重な判断が必要なのだと思います。他方で、「憲政危機」という穏当ならざる用語が普通に使われている状況自体が危機的であることはどうやら確かなようです・・・。


2019/06/16

イギリスの防衛外交・防衛関与(笹川平和財団報告書)

鶴岡路人『イギリスの防衛外交・防衛関与――概念の変遷と「英軍ブランド」』笹川平和財団・民間防衛外交研究事業国別事例調査報告書シリーズ(1)(笹川平和財団、2018年9月)が刊行され、同財団ウェブサイトからダウンロード可能です。

英国報告書URL:https://www.spf.org/global-data/2019012811132037.pdf


2017年度から民間防衛外交研究会を実施していまして、まずは英国、フランス(合六強)、オーストラリア(佐竹知彦)が刊行されました。近々、米国(渡部恒雄)と中国(山口信治)が刊行予定です。

報告書一覧ページ:https://www.spf.org/security/publications/20190128.html

2019/06/15

【Brexitカウントダウン・11】首相交代で変わること・変わらないこと

鶴岡路人「【Brexitカウントダウン(11)】首相交代で変わること・変わらないこと」東京財団政策研究所(2019年6月12日)が東京財団政策研究所のウェブサイトに掲載されました。

メイ首相の保守党党首辞任を受け、6月10日に党首選挙が正式に始まりました。7月中には後継首相が就任する見込みです。混迷を深めるBrexitにおいて、首相交代は確かに新たなスタートとなるものですが、Brexitがこうした状況になってしまった基本的な条件が変化するわけではありません。その意味で、「変わること」よりも「変わらないこと」の方が多いのが現実です。

記事URL:https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3148

連載一覧URL:https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3128


2019/06/08

"Non-Proliferation," in EU-Japan Security Cooperation (Routledge, 2019)

Nicola Casarini and Michito Tsuruoka, "Non-Proliferation," in Emil Kirchner and Han Dorussen (eds.), EU-Japan Security Cooperation: Trends and Prospects (Abingdon: Routledge, 2019).

I co-authored the chapter on non-proliferation with Nicola Casarini, a great friend of mine at IAI, Rome. I enjoyed this book project, which brought me to Berlin and Kobe for its workshops in 2017. Special thanks go to the two editors, Emil and Han, as well as my co-author Nicola.

Routledge website: https://www.routledge.com/EU-Japan-Security-Cooperation-Trends-and-Prospects/Kirchner-Dorussen/p/book/9781138315808?fbclid=IwAR0CGdDNkUP9KczHPWmKf21mJ8bgY3fUB-orygUyoR3uBXPqLxT29HlxuYk



A review of the book by Liselotte Odgaard at Hudson Institute's website:
https://www.hudson.org/research/14856-eu-japan-security-cooperation-trends-and-prospects

英Routledge社から、日EU安全保障協力に関する共著が出ました。私は、旧知の研究仲間で伊IAIのNicola Casariniと共著で不拡散に関する章を担当しました。大量破壊兵器の拡散問題における日EU 協力に加え、核軍縮や北朝鮮問題、輸出管理などについても触れました。このプロジェクトではベルリンや神戸で行われたワークショップの機会に、編者の2人をはじめ、さまざまな執筆者の方とお会いできたのもよい思い出です。

このプロジェクトの拡大版として、現在は、特に欧州側はかなり共通する顔ぶれで、EU・アジア安全保障協力についての企画が進行中で、今年の4月にはシンガポールでワークショップがありました。私は再びNicola Casariniと一緒に不拡散の章を担当します。出版までにはまだしばらく時間がかかると思いますが、引き続きよろしくお願いいたします。

2019/06/07

日仏安全保障・防衛協力の時代/A New Japan-France Strategic Partnership

去年のことになってしまいましたが、2018年は日本とフランスの外交関係樹立160周年でした。そうした背景もあり、仏革命記念日のパレードに自衛隊が参加したことに象徴されるように、安全保障・防衛面でも動きがありました。

そこで、日仏の安全保障・防衛協力について、日本語と英語で、それぞれ小文を書きました。下記です。



【仏革命記念日パレードに参加した陸上自衛隊部隊】

(写真:防衛省ウェブサイト)

上記の仏国際関係研究所(Ifri)から刊行の私の英語の小文は日本側からの視点でして、同研究所のパジョン研究員が、フランス側からの視点を書いています。


また、しばらく前に防衛研究所で、日英協力と日仏協力を比較した論文を書きました。あわせてご覧いただけたらと思います。


2019/06/06

日本国際問題研究所欧州研究会報告書『混迷する欧州と国際秩序』

日本国際問題研究所で実施中の欧州研究会の2018年度報告書『混迷する欧州と国際秩序』(日本国際問題研究所、2019年3月)が同研究所のウェブサイトに掲載されました。

ダウンロード:http://www2.jiia.or.jp/pdf/research/H30_Europe/

私は第9章「ポストINF条約のNATOと欧州安全保障」を寄稿しました。米国によるINF条約離脱方針に対するNATOの支持表明がなされるまでの過程を検証したうえで、INF条約後のシナリオとして、新型の中距離ミサイル配備や巡航ミサイル防衛などの課題を検討しました。



2019/06/04

INF条約の破棄が示すものーー対露関係とNATOにおける「インテリジェンス外交」

鶴岡路人「INF条約の破棄が示すもの――対露関係とNATOにおける『インテリジェンス外交』」笹川平和財団・国際情勢ネットワーク分析(IINA)、2019年3月8日がIINAのサイトに掲載されました。

記事URL:https://www.spf.org/iina/articles/tsuruoka-europe-Intelligence.html


INF条約に関してはさまざまな論点がありますが、ここでは、NATOにおける議論に着目しました。米国は2014年からロシアのINF条約違反を公に批判してきましたが、ロシアが条約違反状態にあるとの事実認定がNATOにおいては全く進まなかったのです。議論が動き出すのは2017年末以降、本格化するのは2018年春から夏にかけて、そして最終的にNATOとしてロシアの条約違反を一致して認定するのは2018年12月です。トランプ大統領がINF条約からの離脱を表明したのが2018年10月ですから、結局はそれを受けて作業を急いだというのが現実です。

その過程では、条約違反の認定と米国の立場への支持をNATO諸国に対して強く求める米国と、そうであれば証拠(インテリジェンス)を共有せよという欧州との間のぎりぎりの駆け引きがありました。まさに「インテリジェンス外交」です。

2019/06/03

東京財団政策研究所サイト連載「Brexitカウントダウン」

東京財団政策研究所のウェブサイトで、「Brexitカウントダウン」と題した連載を2019年3月初旬から始めました。当時は離脱延期がささやかれていたものの、まだ3月末に英国のEU離脱が実現する可能性もあり、いずれにしても最終段階のカウントダウンかと思って始めた連載でした。しかし、英国の離脱期日はすでに2度にわたり延長され、現在は2019年10月31日になっています。これもさらに延長される可能性があります。「出る出る」といいながら、なかなか出ない(出られない)状況が続いているのです。

ただ、Brexitをめぐる英国政治の混迷ぶりは深刻ですし、内外の予測をはるかに超える事態です。同時にEU側においても、Brexit問題に対処し続けなければならない状態が続くことへの苛立ちがつのっています。

そうしたなか、この連載では、英国の視点とともにEU側の視点、さらには日本のような域外諸国の視点を交え、最終段階を迎えたBrexitにさまざまな視点からアプローチしたいと考えています。すでに(1)から(10)までが東京財団政策研究所のサイトにアップされています。今後も、Brexitをめぐる情勢の推移を踏まえながら、非定期で論考をアップしていく予定です。引き続きよろしくお願いいたします。

連載記事一覧ページ:


【これまでの連載記事】
(10) 離脱撤回の理想と現実(後編)(2019/6/3)
(9) 離脱撤回の理想と現実(前編)(2019/5/31)
(8) 再度の国民投票、「承認のための投票」とは何か (2019/5/23)
(7) 再度の延期による仕切り直し(2019/4/19)
(6)「主権を取り戻す」とは何だったのか(2019/4/5)
(5) 離脱延期への厳しい対応で示されたEUの本音(2019/3/29)
(4) 北アイルランド「安全策(バックストップ)」とは何か (2019/3/22)
(3) 延期に向かうBrexit――「三度目の正直」か大幅延期か(2019/3/18)
(2) 決断の週に向けた政治的計算――「現行合意」対「合意なし」対「延期・残留」(2019/3/8)
(1) 混迷するBrexit―なぜこんなことになってしまったのか…(2019/3/4)